テクノポップ/テクノポップ関連情報

サエキけんぞう氏と対談(4ページ目)

クロード・フランソワのトリビュート『CLO CLO MADE IN JAPAN』の発売を記念して、サエキけんぞうさんにインタヴュー。フレンチポップからハルメンズ時代の話までいろいろ伺いました。

四方 宏明

執筆者:四方 宏明

テクノポップガイド

元祖テクノポップの不思議

ガイド:
フレンチポップとテクノポップに精通されているサエキさんに一度、聞きたいなと思っていたことがあるんです。フランス・ギャルがドイツ語で歌唱した「Computer Nr. 3」という曲がありますよね。あれって、1968年というまだテクノポップの観念がなかった時代に現れたクラフトワークよりも早いテクノポップだと思うんです。どうして、あんな曲があの時代に生まれたのか不思議でたまりません。

サエキ:
En Allemand: Das Beste In Deutsch
フランスギャルがドイツ語で歌ったアルバム『En Allemand: Das Beste In Deutsch』に入っているものですね。これは僕らがやっていた青い部屋でのイベント「MIDS」(モッズとフレンチのボーイミーツガールイベント」)の定番曲。昨日もYMCKとこの曲の話をしていました。大変良い曲です。

これは、全くの想像ですが、バルドーが歌った「コンタクト」(ゲンスブール作)を受けた路線ではないでしょうか? 「コンタクト」はテイ・トウワがカヴァーしましたが、あちらもスゴイ曲です。当時「バーバレラ」(ロジェ・バディム監督)という宇宙映画が大ヒット。宇宙ブームがフランスを覆ってたようです。宇宙からコンピュータという安直なイメージの連鎖じゃないですかね~。

ハルメンズ時代の話

ガイド:
この場をお借りして、テクノポップのことについても聞かせてください。私も含めて私の周りにもハルメンズのファンが多いのですが、ハルメンズっていうのはかなり意味不明なんですが、これは誰がどのような意図でつけたんでしょうか?

サエキ:
当時、僕のいた少年ホームランズと、泉水敏郎氏の 8 1/2 のメンバーが合流して作られたのがハルメンズになるわけです。両方ともコンセプトがはっきりしたバンドでしたから、そこから離れるために、「どこにもカテゴライズされない名前にしたい」と、意味のないタイトルを色々考えました。ジョリッツという名前もかなり有力でした。あやうくジョリッツになりそうでした。メンバーのだれがハルメンズを考えついたかは、覚えてません。

ガイド:
ほとんどハルメンズの歌詞はサエキさんが書かれたものですが、独特の言語表現に魅了された人たちも多いと思います。「Q-P-ダンス」「ふにゃふにゃサイボーグ」「焼きそば老人」・・・後に同名のゲームソフトも出た「電車でGO」なんかは早すぎたネーミングですよね(笑)。このような言語感覚はどのように培ってこられたのでしょうか?

サエキ:
焼ソバ老人は杉浦茂の漫画のキャラクター。漫画がとても好きだったので、赤塚不二夫や山上たつひこ、つげ義春にはとても大きな影響を受けました。まさに漫画の世界の感覚です。漫画の中では、人間の後ろめたい泥臭さが見事に消えており、またワビサビのような幽玄な感覚もあります。そして、永遠に幼児でいられるような快活さ、純粋さ、可愛さ、そして毒があります。

ハルメンズの20世紀
『ハルメンズの20世紀』のジャケットのちょっとキモい幼児性、未来感、そこにはワビサビも見え隠れする、それが僕のアイデンティティの根幹です。
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