サザンをかかえるレコード会社は、宝の山ではなかったのか?
先月(11月)28日、JVC・ケンウッド・ホールディングスは、子会社であるビクターの音楽事業部門「ビクターエンタテインメント」の、コナミへの売却を断念したと発表しました。売却話が出た時、ネットではアーティスト達の移籍予想まで飛び交い、業界のみならず、一般の音楽ファンたちの注目を集めました。
ビクターエンタテインメントといえば、SMAPのような国民的人気グループや、活動休止しても人気が衰えないサザンオールスターズのようなカリスマ的アーティストを抱えるレコード会社。傍目には、財務諸表には直接表れないが大資産を持つ、宝の山に見えるかもしれません。しかし業界内では、売却断念は予想された結果だという声もあるようです。その理由とは――。
【INDEX】
■音楽ソフト業界の現状……P1
■音楽のリスクとリターン「原盤権」 1……P2
・Prat2は、こちら
(ビクターと原盤権 もう一つの理由、ビクターのこれから 他)
音楽ソフト業界の現状
携帯やiPodなどにより、音楽は以前にもまして私たちの生活に浸透しています。しかし音楽ソフトの業界全体の生産額は、1998年の約6705億円をピークに減少の一途をたどり、2008年には約3618億円と、半分近くまで減少しています。また、2001年には外資系投資会社リップルウッドが老舗のコロンビアを買収。2007年には、東芝EMIの合弁事業から東芝が撤退。2008年には、ソニー・ミュージックエンタテインメントがBMGを完全子会社化するなど、業界再編が進んでいます。
「音楽業界」は衰退していないが、「音楽ソフト業界」は厳しい状況に立たされている――。この背景には、「音楽のネット配信」が一般的になったことが大きく関係しています。
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