Service
散開以前のYMOとしては最後のシングルとなった『以心電信』は、1983年9月28日に発売。これは、アルバム『浮気なぼくら』では予告編のみだった曲です。当然、「以心伝心」をもじった新四字熟語(Googleで検索するとYMOと関係なく、多用されていたりする)で、「世界コミュニケーション年テーマソング」として作られた曲です。ビートリッシュな曲ですが、YMOにおける「All You Need Is Love」と捉えています。amazon.co.jpにあるCDは、ジャケ写からリンクできます。(amazon.co.jpにない場合、海外のamazonや他の通販サイトへ)
『YMOのカバ』『WHO'S YMO - 再日本製 -』などのカヴァー集や『YMO REMIXES』などのリミックス集はありますが、ここでトリビュートと堂々と命名した『TRIBUTE TO YMO』(もう一つ、「Tribute」の副題がついた企画アルバムがありますが、今度紹介します)です。前髪短いクラムボンが脱力ファンクポップ的「以心電信」がカヴァーをしていますが、この曲がカヴァーされるのは初めてではないでしょうか(リミックスやOMYによるクローン「異論反論」というのはありますが)? 以前紹介したスカパラの「Simoon」以外は新録だと思います。
アーティスト的には、ポップ系、エモ系(LOW IQ 0)からクラブ系までレンジが広いカヴァー集で、いい意味でのヴァラエティがあって飽きない内容です。ヴィジュアル系の人はあまり好きではないのですが、元Luna SeaのSUGIZOの「千のナイフ」は、エッジあって侮れないカヴァー・・・SUGIZOは『YMO REMIXES TECHNOPOLIS 2000-1』で「Perspective」のリミックスもしていたYMOファン。『a tribute to JAPAN』にも参加していたし、JAPANがヴィジュアル系に影響大と考えると自然なんですけどね。SUGIURUMN featuring 曽我部恵一の「君に、胸キュン。」は、歌ものハウスとして完成度高い。Dr.Shingoのエレクトロ化「中国女」やJazztronikの「Behind The Mask」も彼らの持ち味を十分に生かしたナイス・カヴァーです。ちょっと反則気味なのは・・・天才ラッパー、イルリメです。「Snakeman Show」のカヴァーというか「職業当てクイズ」の名の下に、スネークマン・ショー風ギャグに挑戦。シークレット・トラックもサーヴィスでございます。
01. LOW IQ 0:Rydeen
02. SUGIZO:千のナイフ
03. 高野寛:Cue
04. クラムボン:以心電信
05. Sugiurumn featuring 曽我部恵一:君に、胸キュン。-浮気なヴァカンス-
06. Ken Ishii:Firecracker
07. イルリメ:Snakeman Show
08. ERSKIN:Cosmic Surfin'
09. Dr.Shingo:中国女
10. Sun Paulo (佐藤タイジ) :Nice Age
11. ショコラ&片寄明人:The Madmen
12. 東京スカパラダイスオーケストラ:Simoon
13. Jazztronik:Behind The Mask
2003年10月19日に、高橋幸宏の「オールナイトニッポン」でYMOは散開宣言をします。その約2ヵ月後の12月14日に発売されたのが、最後のスタジオ・レコーディング・アルバム『Service』。『増殖』で組んだSnakeman ShowのパターンをS.E.T.(Super Eccentric Theater)で再びというギャグ挟みアルバム。あまり、カヴァーの対象にならないアルバムですが、メンバーの個性がさらに強調されたビートルズの『White Album』4分の1的。S.E.T.はけっして悪くはないのですが、やはりスネークマン・ショーの毒を期待すると目指しているもの自体が違うと感じますね。
01. Linbo
02. S.E.T.
03. The Madmen
04. S.E.T.
05. Chinese Whispers
06. S.E.T.
07. 以心電信
08. S.E.T.+YMO
09. Shadows On The Ground
10. S.E.T.
11. See Through
12. S.E.T.
13. Perspective
14. S.E.T.
これは既に紹介したOMYの『弱気なぼくら/NERVOUS』(2001年)ですが、『Service』のパロジャケもやっています。ちなみに、パロディ・ジャケ好きの方には、安田謙一+市川誠・著『すべてのレコジャケはバナナにあこがれる。』は必須課題図書です。