そのうち、表現をもっと面白くしたいんだけどなぁという思いとか、克也さんも面白がってくれて。で、たまたま東京FMのジャズの番組でナレーションをしていたのが、伊武雅刀さんだったんです。当時は、まだストレートの長い髪で、もの凄いパワフルなエネルギーをもった人でしたね。で、いい声しているというんで、克也さんが声をかけたらしんです。伊武ちゃんは、とにかく分かるとか、分からないではなくて、何でもやっちゃう、何でもやっつけちゃうというか。そのパワーが我々のやりたいことを広げてくれましたね。
実際の録音は毎週火曜日に、赤坂にあるコロムビア・レコードのスタジオで、ミキサーの田中さんと克也さんと伊武ちゃんと私で、1日8時間くらいもんもんとやるわけです。1本もできない日も当然ある訳で。だけど、番組は、帯ですから、何が何でもに何とかしなくてはいけないので、大変だったのを覚えています。特にTBSに移ってからは、放送できないものがすごく出てきて、それとの戦いだったかなぁ。それがあって、多分逆に裏へ裏へ、奥へ奥へ入って行くんで、悔しいから、分かんないように言いたい事をもっと言おうという話にどんどんなっていくんです。
――放送する前に辞めちゃいないと言われるんですか?
局にチェックする人が居るんですよ。担当は年輩の方だったらしいんですが、で「こんなもの、流せるわけない。」とか言われるんですよ。最初は、「どこが駄目なんですか?」と一生懸命突っかかっていたんですが、全然話にならないんですよ。終いに、「分かりました。」と言ってテープをかえしてもらい。逃げ道をさんざん考えたことが結果、黒くなっていったんだと思います。
そんな事があって、たまたま、高校生時代にに熱海の友達のところへ遊びにいった時に無理やり連れていかれた、ゲイ・バーでおねえちゃん達が喋っている客には分からないように言いたいことを言うためのいわゆる隠語があるんですよ(私はゲイではありません念のため)。それを思い出して、これは使えるんじゃないかとか。その応用で言葉の頭の字を次の言葉と逆にするアイデアとか。つまり自分たちが言いたい事を言うための方法論なんです。
――その方法論でかえっておもしろくなったのでは?
結果としては、そうなったんでしょうけどね。その時は、夢中でやっていても、冷静になれば、こんな事言って意味分かるかなぁとか。ともかく熱くなってたからね。
――チェックをしてから行っちゃえということで、放送してから、クレームが来ちゃったというケースはありますか?
NHKだと番組終了時に『君が代』がかかるじゃないですか、『君が代』というのを繰り返し繰り返し聞かせるという番組終了アナウンスのパロディーがあるんですよ。で、右翼から抗議の電話がきたらしく、その時が一番、局側としても対応に苦慮したようです。
第1回は、いかがでしたでしょうか? 第2回『ピストルズを呼べ! そしてYMO』へと続きます。
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