解散してから相当な年月が経っているのに、ベスト盤やアウトテイク集など新たな作品が続々とリリースされる。それだけでもスゴいのに、そのどれもがチャート上位に食い込んでくる。“伝説”と呼ばれるアーティストの中でも、そんなバンドはビートルズだけだろう。そして2009年秋、またしてもビートルズの新たな作品がリリースされることになった。もちろん新曲や新譜ではなく、旧譜のリマスターなのだが、今回はオリジナルアルバムすべて、そしてCD化以来初のデジタルリマスターということで話題を呼びそうだ。

初のオリジナルアルバム全作品デジタルリマスター


プリーズ・プリーズ・ミー
ここから伝説が始まった『プリーズ・プリーズ・ミー』。
今回リマスターされるのは、1963年に発売された1stアルバム『プリーズ・プリーズ・ミー』から1970年の『レット・イット・ビー』までの12枚のアルバムと、67年にEPやLPでリリースされ、87年のCD化再発にあたってCDアルバムにまとめられた『マジカル・ミステリー・ツアー』、それに『パスト・マスターズ』だ。『ザ・ビートルズ』(いわゆる“ホワイトアルバム”)は2枚組、『パスト・マスターズ』はvol.1とvol.2両方が含まれるので、合計14タイトル、全16枚。これで公式にCD化されてきたビートルズのオリジナルアルバムが、すべてデジタルリマスターされることになる。

長い間、世界中で何万回も流され、たくさんの人に聴き込まれてきたビートルズのアルバムだけに、デジタル処理でマスタリングし直す作業は、かなり気合の入ったものだったようだ。作業が行われたのはもちろんアビー・ロード・スタジオで、その期間は4年にも及ぶ。オリジナルのアナログマスターテープを丹念にチェックしながらデジタルに起こし、ヴォーカルの破裂音や歯擦音、つまりパ行やサ行を発音するときに入ってしまうノイズも除去。こうしたノイズも曲の味のうち、という人もいるだろうが、もちろんこれは原曲のイメージを損なわないよう細心の注意を払って処理されている。その他ノイズ除去についても最新のデジタル技術を駆使して行われているが、全525分のうち5分程度しか処理されていないというから、イメージが変わってしまう心配は無用だろう。