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シカゴとヒューイ・ルイス&ザ・ニュース(2ページ目)

海外で好評だったシカゴとヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのジョイントライヴが、ついに日本に上陸した。その内容は? そして日本の観客の反応は?

執筆者:田澤 仁


初期の曲も大ヒット曲も、幅広い選曲だったシカゴ


ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースの熱演の後に休憩をはさんで登場したのがシカゴだ。40年近い長い歴史を持つシカゴは、メンバーチェンジを何度も繰り返してきたバンド。とはいえ、頻繁にメンバーが変わったのは、主にオリジナルメンバーであるテリー・キャスが事故死して以降のギタリストなどで、シカゴの最大の売りである、ジェイムズ・パンコウを中心とする3人のホーンセクションやピアノのロバート・ラムは変わらずシカゴでプレイし続けているから、以前とはサウンドが変わってしまっている、というような心配はない。

The Best of Chicago
40周年記念のベスト盤『The Best of Chicago』に近い選曲、幅広い世代の曲で楽しませてくれた
そんなシカゴのライヴ、1曲目はデビューシングルである「QUESTIONS 67/68」。これは日本語バージョンで歌ってくれた。そして2曲目の壮大な組曲「BALLET FOR A GIRL IN BUCHANNON」もごく初期のナンバー。ヴォーカリストこそジェイソン・シェフが務めているが、中心メンバーはオリジナルのままだから、独特のノリは昔のままだ。ホーンセクションものっけからステージセンターに出て大きなアクションで吹きまくっている。これも以前のままだ。

前半には早くもヒューイ・ルイス&ザ・ニュースがステージに登場した。「DOES ANYBODY REALLY KNOW WHAT TIME IT IS ?」(邦題「いったい現実を把握している者はいるだろうか?」ではヒューイだけが参加してリードヴォーカルを務め、次の「I'M A MAN」ではヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのメンバー全員がパーカッションやコーラスで参加するというにぎやかさ。何度もジョイントライヴをやってきた両バンドだからこそ、こういったパフォーマンスもスムースにやってのけられるのだろう。

長い間シカゴの中心で活躍し、独特のトーンの歌声が“ヴォイス・オブ・シカゴ”と称賛されたのがピーター・セテラ。彼がリード・ヴォーカルをとった初期の曲は、主にジェイソン・シェフが歌っていた。ジェイソン・シェフが参加した当時のアルバムを聴いたとき、なんと似た声のシンガーを探してきたものか、と驚いたものだったが、ライヴで生の歌声を聴くと、ピーター・セテラとの違いもよくわかった。確かに声の質は似ているし、どちらもハイトーンが魅力なのは共通だが、ピーター・セテラの声にはより甘さがあり、ジェイソン・シェフはどちらかというと鋭いハイトーンなのだ。

シカゴにはこのほかにもビル・チャンプリン、ロバート・ラムというシンガーがいるから、様々な時期の様々なスタイルのナンバーをしっかりと聴かせてくれた。もちろん「LOVE ME TOMORROW」、「SATURDAY IN THE PARK」、「素直になれなくて」といった大ヒット曲もたっぷり披露。どの時代のシカゴファンも満足できる内容だったといえるだろう。

この日のアンコールでは、スペシャルゲストとして日本のギタリスト、布袋寅泰が登場した。布袋寅泰の作った、映画『キル・ビル』のテーマ曲「BATTLE WITHOUT HONOR OR HUMANITY」をシカゴが気に入っていて、日本でやるなら彼を呼ぼう、ということになったそうだ。布袋寅泰は最後の「長い夜」にも参加し、キースとのギターバトルで客席を沸かせていた。
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