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シカゴとヒューイ・ルイス&ザ・ニュース

海外で好評だったシカゴとヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのジョイントライヴが、ついに日本に上陸した。その内容は? そして日本の観客の反応は?

執筆者:田澤 仁

60年代の終わりから活動を始め、70年代、80年代を通じて世界的ヒットを飛ばしてきたシカゴ。管楽器をフィーチャーしたブラスロックの代名詞的存在だ。一方ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースは、ポップでエネルギッシュなサウンドと美しいヴォーカルハーモニーが持ち味、80年代には大ヒットアルバムを何枚も発表している。どちらも20世紀のアメリカンロックシーンを代表するビッグネームだ。この両バンド、海外ではすでに何度もジョイントでツアーを行なって成功を収めてきている。そのツアーが、この春日本にもやってきた。今回は4月20日に行われた東京公演の様子をお届けする。

変わらぬサウンドで楽しませてくれたヒューイ・ルイス&ザ・ニュース


4月20日、東京国際フォーラムでの公演は、夕方5時からと早いスタート時間が設定されていたが、ホール入口は午後4時過ぎには多くの観客で大混雑していた。ヒット曲の多くが70年代、80年代という両バンド、やはり観客の年齢層は少し高めで、30代以降が中心といった感じだ。

先にステージに上がったヒューイ・ルイス&ザ・ニュースは、日本公演は実に10年ぶりだ。にもかかわらず、客席は最初から大いに盛り上がっていた。ほぼ定刻どおりにメンバーがステージに現れ、一呼吸遅れて黒いシャツにジーンズというラフな衣装のヒューイ・ルイスが登場したときには総立ち状態。1曲目の「HEART OF ROCK' N ROLL」が始まると、みんなもうノリノリで身体を揺らしている。

SPORTS
10年ぶりのライヴでも、この『SPORTS』や『FORE!』など80年代のヒット作のナンバーが次々に飛び出してきた
昔のヒット曲はあまりやりたがらないアーティストもいるが、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースに限ってはそんなことはなかった。「I WANT A NEW DRUG」、「SMALL WORLD」、「DOIN' IT ALL FOR MY BABY」、「POWER OF LOVE」、「JACOB'S LADDER」と、メジャーなヒット曲を次々と演奏してくれた。なにをやれば客が喜ぶか、ちゃんと知っているようだ。どの曲も、シンプルで明るく、パワーがあるし、R&Bをルーツに持つ彼らのサウンドには、ぐいぐい引っ張るようなノリがある。ライヴで聴くと、より躍動感が感じられるてカッコいい。もちろんメロディも明快で、サビでは客席も大合唱になる。本当にたくさんのヒット曲、たくさんのいい曲を持つバンドであることを改めて実感した。彼らの最初の大ヒット曲である「DO YOU BELIEVE IN LOVE」は、ややスローなノリのアレンジになっていて、メロディのよさが一段と引き立っていた。

ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースといえば、強力なヴォーカル・ハーモニーも売り。この日も中盤でアカペラを聴かせてくれた。この日歌った「SO MUCH IN LOVE」は、R&B、ドゥワップのスタンダードナンバー。その後“ソウル・ミュージックを楽しんでくれ”というヒューイの言葉とともに始まった終盤では、「HEART & SOUL」、「BUT IT'S ALLRIGHT」と、ソウル、R&B色の濃いカヴァーナンバーを続ける。客席はもとより、本人たちが一番楽しんでいたのではないだろうか。

ジョイントライヴならではのお楽しみは、アンコールに訪れた。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で使われた「BACK IN TIME」では、シカゴのギタリストのキース・ハウランドが参加。また「BAD IS BAD」ではビル・チャンプリンがギターを抱えて登場し、さらにシカゴのドラマー、トリス・インボーデンは手ぶらで登場したのかと思いきや、実はブルースハープを手にしていて、ヒューイとのハープバトルを演じてくれた。

90分間たっぷりと客席を楽しませ、自分たちも多いに楽しんでいたようなヒューイ・ルイス&ザ・ニュースのステージ。軽快なノリも、バンドの持つパワーも、そしてヒューイの歌声やロックンローラーらしいステージパフォーマンスも、80年代からまったく変わっていなかったように感じられた。
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