ハードロックとポップソングの絶妙な融合
ともにサンタナのバンドにいたギタリストのニール・ショーンとキーボーディストのグレッグ・ローリーが結成したジャーニーは、デビュー当初から演奏力には定評があった。とくにニール・ショーンは、あまりにギターが上手すぎることに嫉妬したサンタナがバンドから追放したとウワサされるほどのテクニシャン。だから初期のジャーニーは楽器演奏を主体とし、プログレッシブロックの要素も備えた玄人好みのバンドだった。しかしメンバーチェンジを重ねるうちにポップな要素が取り入れられ、『エスケイプ』のようなサウンドに変化していくことになる。
「ホイール・イン・ザ・スカイ」収録、ジャーニーの出世作『インフィニティ』 |
この頃アメリカでは、ツアーをすればどの会場も満員という大人気なのにチャートには入ってこない、そんな不思議なバンドがいくつかあった。スティクス、REOスピードワゴンなどと並んで、その代表格とされていたのがジャーニーだった。しかしその後『エスケイプ』以降は、ジャーニーはチャート上位の常連になる。この78年の『インフィニティ』、79年の『エヴォリューション』、そして80年の『ディパーチャー』の3枚のアルバムで、その足場をしっかり固めていたからこそ、その後の大成功につながったのだろう。ちなみにスティクスもREOスピードワゴンも、80年代に大ヒットアルバムを作っている。
キーボーディストのジョナサン・ケインが加入したことも、『エスケイプ』と『フロンティアーズ』の成功に大きく作用している。元ベイビーズのジョナサン・ケインは、ルックスもアイドルなみなら、サウンドも軽いタッチのポップさが特徴。前任者のグレッグ・ローリーのハモンドオルガン主体のへヴィでブルージーなキーボードを支持するコアなロックファンも多かったが、ジョナサンのシンセ主体のキーボードやポップなアレンジセンスは80年代という時代にマッチしていたのだ。そのポップセンスがジャーニーのサウンドにうまく溶け込んだからこそ、この強力な2枚のアルバムが生まれてきたといえる。
『フロンティアーズ』以降のジャーニー
5枚のヒットシングルを生んだ86年の『Raised On Radio~時を駆けて』 |
gooランキング9位の「トゥ・ユアセルフ」はジャーニーらしいスケールの大きいハードロックナンバーだがかなりポップス寄りになっているし、7位の「アイル・ビー・オールライト」はまるでスティーヴ・ペリーのソロ作のようなポップなバラードだ。しかしこのアルバムは5曲ものシングルヒットを生み出したヒット作になった。以前のジャーニーを期待するとちょっと肩透かしをくらうかもしれないが、ポップなアメリカンロックの秀作が揃ったよいアルバムであることは間違いない。
『Raised On Radio~時を駆けて』を86年にリリースした後、しばらく活動を休止していたジャーニーが、再び表舞台に現れたのが96年。アルバム『トライアル・バイ・ファイアー』では黄金期のメンバーが結集して話題を呼んだ。しかしその2年後にはヴォーカリストのスティーヴ・ペリーが脱退、ドラマーのスティーヴ・スミスも再び脱退してしまう。
21世紀に入ってからもメンバーを入れ替えながら『アライヴァル』、『ジェネレーションズ』とアルバムを発表し続けているが、いずれもセールス的に以前の勢いはない。そして2007年に入ってから、前年からのツアー中に加入したばかりのジェフ・スコット・ソートも脱退してしまった。残念ながら現在は活動休止状態だが、休止するのは今年いっぱいまでで、2008年にはアルバム制作に入るようだ。どんなメンバーでどんな作品になるのか、デビュー30年を越えたジャーニーの新譜が今から待ち遠しい。
【関連リンク】
ジャーニー公式サイト(英語)
キングレコードのサイト内、ジャーニー公式ページ
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