明治生まれの元祖・あつた蓬莱軒のひつまぶし

暑い時期におすすめの名古屋名物、うなぎの「ひつまぶし」。うなぎの蒲焼きを細かく刻み、「お櫃(ひつ)」に「まぶし」た、いわば、うな丼のアレンジバージョンとも言うべき、この地方独特の料理です。

「ひつまぶしが生まれたのは明治の末頃。うな丼の出前が多かったので、おかもちで運ぶ際にも割れにくい木のお櫃を使うようにしたのです。加えて、お座敷の団体様向けに、大勢でも取り分けしやすいよううなぎを細かく切ってお出しするようになったんです」と言うのは、ひつまぶしの元祖と言われる明治6年創業の「あつた蓬莱軒(ほうらいけん)」若女将・鈴木詔子(のりこ)さん。

うなぎのひつまぶし
あつた蓬莱軒のうなぎのひつまぶし。2520円
これだけでは、器と切り方が違うだけでうな丼と一緒じゃないか、って話になってしまいますが、薬味とダシで味に変化を加えるのが、ひつまぶしの最大の特徴です。1杯目は普通のうな丼で、2杯目はねぎ・わざび・のりの薬味をかけて、3杯目はお茶漬けにしてさらさらと。一品で3度おいしい、これこそがひつまぶしを名物たらしめている所以なんです。

3杯ではなく4杯楽しむ! これぞ美味しい食べ方の極意

さて、あらためて若女将に、ひつまぶしのおいしい食べ方をレクチャーしてもらいましょう。

「3つの食べ方が楽しめる、そこで皆さん、お櫃の中身を3等分しようとするのですが、実は4つに分けるのが上手な食べ方なんです」。

ひつまぶし・1杯目
1杯目はそのままうな丼として
ふたを開けたら、うなぎがびっしり敷き詰められたひつまぶしの表面を、しゃもじで十文字に切って4等分に。こうすれば、3等分よりも簡単に均等に分けられるというワケ。さらに、最後に待ち受けている第4のお楽しみが、満足度をグッと高めてくれます。

「3種類の食べ方をひと通り楽しんだ後、一番お好みの味を、4杯目で再び味わっていただくのです。特に、初めてひつまぶしを召し上がられるお客様にはおすすめの食べ方です」。

もちろん、どんな順序や配分で食べても構わないので、自分なりのルールで味わう常連も少なくありません。中には、ダシがアツアツのうちに、と真っ先にお茶漬けをかき込む人もいるそうです。