カナダの映画製作環境について
『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』は、カナダ発のイビサ島を舞台にした映画。 |
マイケル・ドース監督:カナダの特徴は、英語とフランス語の二つの言語があり映画の世界も2つの中心地がある。だから、映画も2つの世界に架け橋を作るような役割があると思う。僕はモントリオールがフィールドだけど、モントリオールやケベックは、映画産業でも先進的で、マーケットも大きく、スターシステムもあるし、興行収益の高く、優れた映画もたくさん作っている。コメディとかね。
映画産業をたくさんの人がサポートしているのも挙げられる。特にケベックでは。英語の映画に関しては、ケベックほどサポートされていないし、いい映画を作っても、観客があまりこない場合もある。
ただ、カナダでは、カナダ国立映画制作庁(NFB)があり、国が映画スタジオを経営するような形で、映画を作り、お金を出してくれる。もし、映画製作でお金が必要な場合は大きな助けになる。いつでも、行ってお金を出してくださいと言えば、サポートしてくれるので、カナダ映画界の発展の大きな要素になっていると思う。
ただ、問題があるとすれば、政府のお金で映画を作るため、興行的に成功しなくてもいい点。だから才能のある監督はどんどんでてくるが、お金の面で政府を頼ればいいということになって、優秀なプロデューサーが台頭しにくい面があると思う。
僕が、映画を作るうえで大切だと思うのは、観客に楽しんでもらい、その結果お金になるというビジネスの面。だから、政府のお金で安心して映画が作れる環境は、ありがたい点と、そうじゃない点があると思う。
映画を作ることは簡単じゃないが、政府がサポートしてくれるため、より簡単に映画が作れる環境があると思う。
それと、映画に投資する人には、税金の優遇制度もある。それはとてもいいことだと思う。誰もが映画を好きだと思うし、投資しやすく、金銭のロスが少ないやり方だ。
良いアイデアが浮かび映画がヒットすれば、大きな成功につながるのだから、むしろ、一般のスタジオが、映画をたくさん作る環境がもっと必要だと思う。アーティステックで、アマチュア的な映画が増えて、映画スタジオが郵便局のようになるのは、問題があると思う。
アーティステックな映画も必要じゃないというわけでないが、優れたストーリー、アイデアで、人を喜ばせたいと思う。
ガイド:マイケル・ドース監督ありがとうございました。
マイケル・ドース監督は、映画の印象とはちょっと違って、若いのにもかかわらず、落ち着いた物腰の穏やかな方でした。様々な話題について情熱的に語ってくださったのが印象的で、映画の作り手としての責任と喜びが、こちらにも伝わってきたような気がします。いかがだったでしょうか?
『フランキー・ワイルドの素晴らしき世界』
12月23日より、渋谷シネ・アミューズにて公開中。全国順次公開。
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