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秋が心にしみる『ノートに眠った願いごと』(2ページ目)

この秋イチオシの韓国映画は『ノートに眠った願いごと』。1995年6月29日に実際に起きた三豊百貨店の崩壊事故の悲劇をストーリーに組み込み、韓国公開時に話題になった、切なくも温かいラブストーリーです。

執筆者:桑畑 優香

『ノートに眠った願いごと』あらすじ

幸せだったふたりをデパート崩壊の惨劇が襲う
舞台となっているのは、1995年の韓国。テレビの旅番組のディレクターをしているミンジュは、恋人の司法研修生・ヒョヌからプロポーズをされ幸せいっぱいのときを送っています。一方、志望を弁護士から検事に変更したばかりのヒョヌは慣れない仕事に忙殺されていました。

結婚後の新居も決まったある初夏の日、2人はデパートで新居に置く家具を見に行く約束をしました。暑い日ざしが照りつける中、ヒョヌは、ミンジュにデパートの中で待っているように伝えます。仕事が長引き約束の時間に遅れて待ち合わせの場所にやってきたヒョヌは、突然目の前でミンジュがいるデパートが崩れていくのを目撃するのです。

それから10年。ミンジュの死の原因は待ち合わせに遅れた自分にあると責め、心を閉ざして冷徹な検事になっていたヒョヌの元に、年老いたミンジュの父が訪れます。父親の手には革表紙に染みがついたノートが一冊。表紙を開くとそこにはミンジュのなつかしい文字で「ヒョヌとミンジュの新婚旅行」と書かれていました。ミンジュが秘かに計画していた、1週間の新婚旅行の記録でした。

政治がらみの事件に深入りし休職処分を受けたヒョヌは、ある秋の日にミンジュがノートに残した場所を巡り始めます。紅葉に彩られた名所をまわるにつれ、よみがえるミンジュとの思い出。その過程でヒョヌは、自分と同じように旅をするひとりの女性の存在に気づくのでした……。

次ページでは、主役のユ・ジテの魅力と実話が持つ重みについて語ります。
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