6ヶ月のトレーニングで10キロ減量
ガッツ石松とプチ対決! |
「チェ・ミンシクさんが演じたテシクのモデル、晴留屋明さんは日本の方なので、本当でしたら日本で会いたかったのですが、会うことはできませんでした。私が演じたソチョルも実在の人物で韓国のK1選手です。忙しくてお会いするのは難しかったのです。実在の人物をベースにはしているけれどあくまでもフィクションなので、あまりにも実在の人物に執着するとそれはドキュメンタリーになってしまうと思います。だから独自の役作りを心がけました」
―役作りはどのようにしましたか?
「平凡であるという部分から自分自身が抜け出る必要があると思った、少年院に収監された経験を持っている人物を演じたので、自分には経験がないけれどどういう気持ちなのかということにアプローチする必要がありました。ボクシングのトレーニングも6ヶ月、10キロの減量もした。非常に独特の経験をした彼の気持ちを理解する。そういう部分で悩んだ。そのことだけを考える時間を過ごしながら、自然に彼になっていったと思います」
―自分で提案したシーン、アドリブで演じたシーンがあれば教えてください。
「映画の最初の場面を見ると、かつあげのシーンがあり、顔のクローズアップがでます。リハーサルのときは別の表情を考えていました。しかし、撮影が始まると彼の夢も希望も失った無味乾燥な表情をとりたいと思って提案し、冒頭のシーンのような表情になりました。けんかのシーンでは強く殴りすぎ、相手の俳優に申し訳ないという気持ちもしましたが、あのシーンもアドリブのシーンです」
「彼は背中の線がボクサー向きだね!」とガッツ石松。 |
―チェ・ミンシクさんから学んだことは?
「チェ・ミンシクさんは韓国でたくさんの俳優が尊敬しているすばらしい俳優です。日本でも有名だと聞いています。今回そういうチェ・ミンシクさんと共演でき光栄でした。撮影中はたくさんの話をしました。チェさんが周りの人と話をしながら撮影に望タイプの人です。ワンカットワンカットとるごとに、彼の感じていることを知り撮影していきました。自分には考えられないような幅の広さに学ぶことが多い俳優でした」
会見にはガッツ石松もゲストとして参加。「クライングフィスト」を見た感想を問われると「リュ・スンボムさんは右のパンチと背中の線にボクサーとしての可能性を感じるね。でも実際に会うとイメージが違う。IT企業の社長みたいだ」と会場を沸かせました。また、司会者に「今日本で一番熱いボクサーといえば…」と聞かれ、「一番熱いといえば荒川静香ちゃんだね」(会見が行われたのは、金メダルの直後)と、得意のボケギャグを披露。リュ・スンボムの苦笑い(?)が印象的でした。
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韓国の名優チェ・ミンシクと若手演技派ナンバーワンのリュ・スンボムが、それぞれの思いと人生を背負いながらリングで対決する『クライング・フィスト』は、監督が実在のボクサーを追ったふたつのドキュメンタリーを見て、「この2人を対決させたらどうなるか…」と思いついたことから生まれた映画。「過去と闘え。未来と闘え」というキャッチフレーズのとおり、過去との決別を願うテシク(チェ・ミンシク)と未来への希望を模索するサンファン(リュ・スンボム)の対決がクライマックスとなっていますが、実はラストまで2人がからむことはありません。まるで2つのストーリーを追った、2つの映画のような構成になっています。ボクシングの映画というと『ロッキー』に代表されるように、主人公VS敵という構図が一般的ですが、釜山国際映画祭でお会いした監督は「どちらかの人生にフォーカスするのではなく、それぞれのボクサーに人生があるということ描きたかった」と語っていたのが印象的でした。
元クラブDJ!リュ・スンボムのプロフィールは…次ページで!>>