舞台は生ものです。テレビや映画のように撮り直しはできません。「これは後々、NG特集番組に使えるな…」そんな甘いもんじゃありません。危険が伴う場合もあるからです。
盆、セリ、大階段などコンピューター制御されている舞台機構、また音響、照明など、それらに関わるスタッフは、毎日開演前に入念なテストを行っています。お客さんが入る前の舞台上は、生徒たちがウォーミングアップをする横で、スタッフたちが動き回っています。そして定期的に大掛かりなメンテナンスも。
しかし、コンピューターは100%完璧なものではない……そして結局のところコンピューターを動かすのは、生身の人間。
ですから、滅多に起こる事ではありませんが、盆やセリが動かない、大階段がセットできない、音が出せない、照明が当らない……などなどのハプニングが起きてしまうのです。
このような急なハプニングによって、場面の進行が遅れたり、記憶に新しいところでは昨年、音響の不調で公演が中止になったこともありましたね。
また、スタッフの手動で動かしセットされる大道具などもたくさんあります。わずかな時間で場面転換をするのはお得意の宝塚のスタッフたち。セットするタイミング、速さ、スタッフ同士の団結力……
神業のごとくテキパキとこなす姿に感心させられると同時に「いっしょに、一つの舞台を創っている」という喜びも感じます。
それでもたま~に、ハプニングが起こることもあります。
大道具が倒れてきたり、出し入れする大道具や小道具と生徒がぶつかってしまったり。スモークが多過ぎて、足元が見えなくなったり。
開くべきはずのセットのドアが開かない……反対側から針金の鍵が掛けられたままだった……なんてことも。