ドラマ/夏ドラマ情報

夏ドラ概況:干物女が現代の幸せの姿?(2ページ目)

村上龍が「この国には何でもある」「だが、希望だけがない」と表現した現代の日本、夏ドラマは感じにくい「幸せ」を感じさせてくれるドラマがヒットしています。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

タイトルは「刑事」だが

マンハッタン・ラブストーリー DVD-BOX
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パターン通りの刑事ドラマとは全然違う『うぬぼれ刑事』は対照的に低迷。過去のTBS22時台の宮藤官九郎脚本作品と比べても視聴率過去最低の『マンハッタンラブストーリー』(これもかなりひねった恋愛ドラマでした)を下回る可能性があります。

クドカン作品はいつも視聴率は低くてもDVDは売れる、といわれています。しかし今回はその内容もいささか疑問。率直にいってガイド個人としてはついていけておらず「何がおもしろいの」状態です。やりたいことはわからないこともないんですが笑えません。雰囲気としては映画『真夜中の弥次さん喜多さん』など宮藤官九郎監督作品に共通しているような。メイン演出まで本人が担当するとクドカン濃度が高すぎるんじゃないでしょうか。

親の呪縛

フジテレビの二作は「親の呪縛」というのが共通しています。『GOLD』は三代にわたる金メダルの呪縛、『夏の恋は虹色に輝く』は主人公・楠大雅(松本潤)が名優である父(伊東四朗)の名前が重荷になって自由に生きられない。

『GOLD』はその呪縛からどう逃れていくのかが見えないことが全体的な息苦しさにつながっています。対して『夏の恋は』は貧乏だけどなんとなく楽しげで強く生きているシングルマザーの北村詩織(竹内結子)の方に脱出口はあるようです。にしても大雅ばかりか兄(沢村一樹)にも惚れられるという設定はちょっとやりすぎか。あのモテモテさが受け入れられるかどうかがこのドラマをおもしろく感じるかそうでないかの境目という気がします。そういえば竹内結子、『ランチの女王』でも四兄弟(堤真一、江口洋介、妻夫木聡、山下智久)にモテモテでした。そういうキャラ?

それから「親の呪縛」というテーマは以前はフジテレビの金看板だった「月9」と「木曜劇場」枠だが最近は不振というのとも重なります。特に月9の方は恋愛ドラマという過去の栄光は忘れて、考え直した方がいいんじゃないでしょうか。

惜しい

その他気になるところをあげておくと『GM~踊れドクター』は東山紀之演じる主人公の総合診療医としては優秀なのにそれ以外ではダンスバカなキャラとそれに突っ込む多部未華子の研修医も奥二重を「殴られたの?」「お菊人形」といじられ、『TRICK』の上田・山田コンビ的掛け合いで笑わされます。

ただ次々と難解な病名がでてきては検査や治療結果ですぐに否定されるという「病名当て」がわかりにくい。もうちょっとじっくりと診察した方がいいんじゃないでしょうか。それにタイトルもわかりにくい?

それから『ハンマーセッション!』。タイトルからビックリするような授業を期待していたんですが、1,2話ではたたき直される生徒にはビックリでも視聴者からは小芝居レベルで期待はずれでした。しかし3話、母親がモンスターペアレントの生徒をたたき直すところでようやく視聴者にも意外性のある授業をしてくれました。最初からこのレベルだとよかったんですけどね。


【関連リンク】

ガイド記事:夏ドラ(前)刑事は追詰め主人公は追詰められ

ガイド記事:夏ドラ(後)刑事は追詰め主人公は追詰められ


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