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時代劇ドラマが減れば時代劇映画が増える(2ページ目)

9月に『BALLAD 名もなき恋のうた』『火天の城』『TAJOMARU』『カムイ外伝』と時代劇映画が計4本も公開されます。その理由は……ところでここのテーマは映画じゃなくテレビドラマじゃなかった?

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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足下を見直す

それでは、なぜ近年盛り返すようになったのか?
受け手側の要因は景気の停滞でしょう。景気がいい時は未来志向で過去は顧みられませんが、不況・低成長期は過去を振り返り自分の足下を見つめ直したくなります。時代劇の他にも茶道や和装など和ものはブームだといわれています。

時代ものがはやりだした源流はコミック『バガボンド』あたりだと思います。『バガボンド』の連載が始まったのは98年。その前年97年は北海道拓殖銀行や山一証券など大手金融機関の破綻が相次いだ年。日本経済はその後の山谷はありますが冴えない方が多く、そんな気分が時代物ブームを産んでいるだと思います。

作りやすくもなった

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立場を変えて作り手側の事情を考えて見ると、以前より時代劇がつくりやすくなったということもあります。

昔は京都に行かないと時代劇の撮影は難しかったけど、つくばみらい市にワープステーション江戸ができ、他にもロケーションオフィスの発達で古い町並みや建物でのロケがやりやすくなりました。

テレビ朝日・東映のスーパー戦隊シリーズを見ていると、以前は京都ロケ編がありタイムスリップをしたりの時代物風のエピソードがあり、ついでに東映太秦映画村でショーをやっていたものですが(いや、逆にショーをやりたいために京都ロケもあったのか?)、現在の『侍戦隊シンケンジャー』は「侍」がモチーフのため和風な場所でのロケが多いんですが、これまでのところ京都には行かず関東近郊で成立しています。

またCG技術の発達によりいままで撮影できなかったことも映像にできるようになったこともあります。昔は黒澤明か角川春樹でもないかぎりできなかったような大人数での合戦シーンも実現可能になりました。小さいところでは町並みに電柱が写りこんでも消すことができます。

技術の伝承

それに映画会社にとって時代劇映画をつくり続けないと制作技術が維持・伝承できなくなってしまうということもあるでしょう。時代劇をつくり続けているのは東映太秦、松竹京都撮影所、旧大映の流れを組む映像京都などがありますが、以前はテレビの連続時代劇でつくり続けることができていました。しかし、いま民放で続いているのは『水戸黄門』のみ。単純な勧善懲悪では受けないから、テレビでは『鬼平犯科帳』などよりスペシャルな単発時代劇をつくり、また映画にも活路を見いだしているのでしょう。
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