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昭和の名脚本家から選ぶ名作ドラマベスト5(2ページ目)

今では女性や若者向きがほとんどのテレビドラマですが、昭和50年代には大人向きの味わい深い名作ドラマが制作されていました。その時代の「脚本家ビッグ5」から5作を選んでみました。

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

3位:早坂暁『夢千代日記』

夢千代日記-全集-
夢千代日記-全集-
社会の中で名もない人間を見つめ、その断片を切り取り、人生を深い視点で捉える枠だった「ドラマ人間模様」。そのカラーを象徴するのは『事件』『夢千代日記』『花へんろ』の早坂暁脚本・深町幸男演出コンビの3シリーズ。どれもハイレベルですが、今回は『夢千代日記』を選びました。

それまでの早坂・深町コンビの作品を観た吉永小百合が「人間を温かいまなざし見つめている」とオファーして実現したシリーズ。その吉永小百合をあまり前に出させず、耐えて人の悩みを聞くウケの芝居が光り、間違いなくテレビドラマにおける代表作です。

また小さな街の市井の人々の物語を描きながら、繁栄する太平洋側に対して陰になった日本海側の問題をあぶり出し、これは「地方の問題」として現在、さらに拡大しています。。

太平洋側と日本海側の境界線として印象的に登場する余部鉄橋は今年から建て替え工事に入り2010年完成予定。時代は変わっているのかいないのか?


被爆二世の温泉芸者・夢千代(吉永小百合)は余命数年。温泉街でひっそりと置屋を営む彼女のまわりには幸薄い芸者や悲しい過去を持つ人々が集まり、肩寄せ合って生きている。そんな彼らのもとへシリーズ毎に太平洋側から問題を抱えた人物がやってきて、さざ波をたてていく。
(1981,82,84:NHK)

2位:向田邦子『阿修羅のごとく』

阿修羅のごとく-全集-
阿修羅のごとく-全集-
タイトルの「阿修羅」とドラマの内容は最初の加賀美アナによるナレーションがもっともよく説明しています。「外には仁義礼智信を掲げるかに見えるが、内には猜疑心強く、日常争いを好み、互いに事実を曲げ、また偽って他人の悪口を言いあう」

メインストーリーは老父と四姉妹それぞれの問題ですが、彼女たちの性や嫉妬、エゴといった感情は実家で母と台所仕事をしながらのおしゃべりや軽い姉妹ゲンカになるなど、何気ない日常の中で、直接にはまったく言わなくてもセリフの裏で表現されています。そして愛人と隠し子の存在を実は知っていた母がふと見せるまさに阿修羅のような顔。

男じゃ絶対書けないですが、女性脚本家でも難しい、向田邦子ならでは世界ですね。


それぞれに暮らす四姉妹(加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ、風吹ジュン)の老父(佐分利信)に愛人と隠し子がいることがわかる。母親(大路三千緒)に知られないように気遣って対応する中で、四姉妹それぞれに悩ましい事情もあり、女同士が陰に陽にぶつかり合うことに。
(1979,80:NHK)


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