ああ見えて結構きついところもあるようで、以前トーク番組で加賀まり子が「一番いじわるな女優は?」という質問に対して「ホームドラマのお母さん役で有名なYKさん」と答えてました。どう考えても該当します。
しかしそれは仕事へのきびしさの裏返しでしょう。大映テレビの赤シリーズの代表作『赤い疑惑』では山口百恵の母親役で出演していましたが途中降板、ある日突然お母さんは渡辺美佐子に変わっていました。
降板理由は当時謎でしたが、後から伝えられた理由は「アイドルである山口百恵が忙しくてリハーサルに出てこなかったり後ろ姿が代役だったりする制作体制についていけなかったから」といわれています。きびしいんです。
宝塚ガイドの桜木さんに八千草さんのエピソードありません?と聞いたところ「退団後、二度、舞台をごいっしょさせていただきました。ドラマの、あのまんまの方です。可愛くて、つつましやかで、おだやかで…大女優さんでいらっしゃるのに、腰の低い方で…私にとっては、あまりにも雲の上の方なので、ご挨拶以外、こちらから話し掛けることなど緊張して出来なく…なのに、稽古場の隅に座っている私の元へ八千草さんがいらっしゃり、『貴女も、元宝塚なんですってね。』と微笑まれた時は、もう、うれしくてうれしくて…。」ということでした。
最近は『フードファイト』で孤児院の園長、『恋人はスナイパー』の瞼の母、『アンティーク』の奥様、『ビッグマネー!』小塚老人(植木等)のあこがれのマドンナなどで特別出演が多く、昔の名作を見ている今のスタッフも使いたいようです。
また『愛と青春の宝塚』『海のオルゴール』などでナレーションの仕事も多く、ナレーションが影の主役のNHK朝ドラで『風見鶏』『ロマンス』『君の名は』と三回担当したのも特筆していいでしょう。
また、9月には朗読CD「きりんのなみだ」が発売され初の握手会が行われたことも話題になりました。
最後にTBSチャンネルでの『岸辺のアルバム』の再放送を見て印象的だったこと。母(八千草薫)が男(竹脇無我)と逢い引きしているのを知った息子(国広富之)が悩んで姉(中田喜子)に相談すると、お母さんは39才なのよ!不倫してたって不思議ないでしょ!!、といわれて、そうか、あの奥さんは39才だったのか、それであれだけきれいなら現代の感覚では男の一人や二人や三人はいても不思議ではないなー、と思わず納得した次第。
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