昔は日本テレビに読売新聞だけでなく他の新聞社も出資するなど、東京キー局と新聞社の関係は今のように一対一ではありませんでした。今の日本テレビ－読売、TBS－毎日、フジ－産経、テレビ朝日（当時NET）－朝日、テレビ東京（当時東京12ch）－日経となったのは1969年。
それに対し大阪局では1959年から朝日放送、毎日放送という名前のように新聞社との関係がはっきりしていていたのですが、東京キー局も新聞社との関係が明確になると系列がおかしいことになりました。
毎日新聞系になったTBSと朝日放送、朝日新聞系になったNETと毎日放送が系列を結んでいたのです。そこで75年、政府主導で、TBSと毎日放送、NETと朝日放送と系列を変更する、いわゆる「腸捻転ネット解消」が行われます。
関東の視聴者から見ると朝日放送の『必殺シリーズ』がTBSからNETになり、毎日放送の『仮面ライダー』が逆の動きになりました。（『仮面ライダー』の穴を埋めるためにつくられたのが『ゴレンジャー』です）
それで不満を持ったのは朝日放送。自らは在阪局ナンバーワンで、全盛期のTBSと最強タッグを組んでいたのに、あまり強くないNET－テレビ朝日と組まされてしまったと。
その結果、テレビ朝日と朝日放送が編成で衝突する場合があります。一番有名なのが、「金曜ニュースステーション」です。平日22時台をニュース番組にするという画期的な編成だったニュースステーションですが、85年の放送当初は金曜だけ23時スタートでした。金曜22時は朝日放送が『必殺シリーズ』を放送していて譲らなかったからです。
金曜のニュースステーションが22時スタートになったのは88年から。88年はバブル景気を背景に『君の瞳をタイホする！』『抱きしめたい！』といったトレンディドラマが始まった年。「闇」がテーマの『必殺』は時代に合わず人気が低下し『必殺剣劇人』でシリーズを中断、朝日放送も人気番組に成長したニュースステーションに時間を譲ったのでした。（『必殺』連続ドラマ版はその後、91年に『必殺仕事人 激突！』が火曜21時につくられ終了）
「金曜ナイトドラマ」枠も全国同時放送にするためには、人気シリーズにならなければいけないのでしょう。『トリック』はPart1,2ともに好調でこのレベルを維持できれば……なかなか道は遠そうですね。
