歌舞伎にもある「初鰹」鰹といえば一本釣り。現在では網でまとめて捕獲する漁が主流。一本一本漁師さんが吊り上げる一本釣りの鰹はとても貴重な存在にもうすぐ5月。ゴールデンウィークに並び、日本人にとって昔から大事にしている初鰹を楽しみにする月でもあります。江戸っ子が「女房、娘を質に置いても食べたい」と言ったというほどの初鰹。今だったらちょっと怒られてしまいそうな話ですが、そのくらい、初鰹の到来を人々が楽しみにしていたということなのです。また、歌舞伎の中にも天秤棒を担いでこの初鰹を売り歩く魚屋が登場する「髪結新三」というお芝居があったりするくらい、大衆文化に初鰹は昔から根付いていたんですね。初物は東を向いて食べる初鰹に限らず、初物にはちょっとした食べ方の礼儀があるのをご存知ですか? それは東を向いて笑いながら食べるといった食べ方。笑いながら食べるのはさすがに大変なので、食べる前に東を向いて笑ってみましょう。「なぜ、東なのか?」については太陽の昇る方位だからとか、高貴な方位だから、など諸説あるようです。またこの方位に関しては地方によってもバリエーションがあるようですが、大筋では東。そして初物その心は、「旬のものをありがたく食べる」という感謝の気持ち。旬とは厳密にいうと、たったの10日間しかそれぞれの食材に与えられていない貴重な時間です。その10日を頂くのだからこそ、感謝の気持ちを持ちながら食べるというのはとても大切なことなのです。そのように恵みに対して謙虚な気持ちになることを、子ども、そして家族一緒に教えてあげるといいですね。初物に関する75日昔から初物を食べると75日寿命が伸びるといわれています。なぜ75日なのか……。これまた諸説あるのですが、土用も一つの季節と考えると一年は5つの季節になります。これはお隣の国、中国でポピュラーな五行に暦をあわせた数え方。そうすると大体季節一つの長さが75日平均になることから言い伝えられているようです。初鰹に関しては75日ではなく、750日寿命が伸びるとも言い伝えられています。昔の人にとって初鰹がどれだけありがたい初物だったかが、ここからも理解できますね。>>次は本当にお客様にも喜ばれて、子どもも満足の「鰹の叩き」>>12次のページへ