保護者の側も考えること
ガイド:親として、こうした取り組みに必要な心構えなどあるのですか?赤城さん:私は、アレルギーに悩む多くの「学校給食を考える会」に参加したとき、積極的な学校関係者の方々とお会いしていろいろな話を聞きました。その中で、やはり親も気をつけなければならないことがあるのを知りました。市民活動をする中で感じることは、障害者・疾患などの弱い立場が行うことは必ず正しいということではないこと。問題に関わる一人ひとりの意見を聞いて、まじめに理解して欲しいです。
実際、学校給食の調理の現場で、まわりを困らせているケースもあります。例えば、10項目の食品に対して除去を完璧にやっている母親が、アレルギーの血液検査では3項目しかなかった。でも、今まで全部除去をしてきた。その心配から食べさせるのが怖いので、学校でもやめて欲しいと言う。これでは説得力にかけます。やはり、学校給食の場合は、きちんとした医師の診察の上で根拠のある除去食が必要になるからです。またその逆に、除去指導をうけて、学校で行っていても家では行っていない。家で危険なことがあっても母親が対処できるけど、学校では対処できないので、完全除去して欲しいとか……。
親側も不安があるときは、負荷テストしてみるとか。このテストには是非がありますから必ずしなくてもいいのですが、社会生活では子どもはいずれは除去食から自立していかなくてはならないので、方針を主治医と相談してだんだんと除去を減らしていく方向へもっていく必要があると感じています。
アレルギーを持つ子どもをもつ親へのメッセージ
アレルギーがあることは、危険な物を避けるいい体をしているということ |
赤城さん:この仕事をしていて一番に感じ、講演会をする中でもっとも聞いて欲しいところは、「アレルギーがあることは、危険な物を避けるいい体をしているということ」です。
「アトピッ子地球の子ネットワーク」の冒頭にもありますが、「身体とこころのバランスがとれていること。自然環境と人とが共に生き、共に豊かであること、かゆさや息ぐるしさ、薬の副作用やリバウンドから解放されること。それは、アレルギー性疾患をもった人も、アトピー性皮膚炎のある人も、ぜんそくのある人も、食物アレルギーの人も、花粉症の人も、元気な人も、ちいさい子もおおきい子も、大人も子どもも、みんなが望んでいることです。さて、そのために何をしたらいいのか、ひとりひとりにできることって何だろう、そんなことを考え実行したていきたい」と感じています。
患者のみなさまの相談の中から、みなさまもしんどいと思います。呼ばれれば、私はどこでもお話をさせて頂きたいと思っています。これからも現場との折り合いのつけ方を考えながら、活動をしていきたいと感じてます。
ガイド:今日は、アレルギーの問題を社会全体で改善していくための大切さを感じることができました。どうもありがとうございました。
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アトピッ子地球の子ネットワーク
1993年に設立。アレルギー・アトピー問題について個別対処の側面と、根本的解決のためには環境の改善が必要という側面から、多方面にわたって活動。電話相談・情報発信・患者交流会(子どもの患者の母、成人患者と家族など)のほか、環境調査・実態調査・企業のアレルギー対応に関しての協力なども行っています。