子供の病気/麻疹(はしか)

10代に麻疹が流行している2つの理由

麻疹の流行はまだまだ広がりを見せています。流行の範囲は関東だけにとどまらず、休校になる学校も各地で増えています。この流行のキーワード「ブースター効果」、「未接種の世代」を解説します。

執筆者:長尾 大志


麻疹(はしか)流行、拡大中

麻疹(はしか)が流行中
麻疹が流行中。ワクチン接種は済みましたか?
Q:12歳になる子供がいます。はしかの予防接種をさせたかどうか、はっきり覚えていません。確か子供が小さいころには、予防接種の副作用のことが話題になっていたような気がしますから、していないかも……。今から予防接種をさせたほうがいいのでしょうか? 教えてください。

A:お答えします。麻疹(はしか)の症状はまず発熱・咳・鼻汁といった風邪引きのような症状(カタル症状といいます)があり、数日たって口の中に白いブツブツ(コプリック斑といいます)が出ます。そのあと40度ぐらいの高い熱と発疹が続きます(「麻疹(はしか)の知識と対処法」もご参照ください)。10代になると症状が強く出るのが特徴。発熱の期間が長くなり、倦怠感などがより強くなります。

首都圏を中心にした麻疹の流行は全国に拡大する兆しを見せています。国立感染症研究所によると、4月2日から5月13日までに全国の医療機関から報告があった成人患者は159人で、今月14~20日の1週間では、過去最多の68人の感染報告がありました。これまでで最も多かった2001年を上回るのは確実といわれています。

厚生労働省は、麻疹のワクチンが不足することを懸念して、麻疹に対する抵抗力があるかどうかを見る麻疹の抗体検査をしてから必要な人だけにワクチンを接種するよう、5月18日に通知を出しました。ところがその抗体検査も、依頼が殺到して検査が出来ないという事態になっています。

未接種の子供にはワクチンを

2006年度から子供の予防接種が麻疹単独のワクチンから風疹との混合ワクチンに替わったため、単独ワクチンは製造されなくなり、今回在庫不足になるのでは、といわれています。厚生労働省によると、今年はじめに約25万本あった麻疹のワクチンが、今回の流行で11万本に減ったそうです。しかし、減った分すべてが使われてはいないことと、混合ワクチンが効き目も同じであることから、麻疹の予防接種としては不足することはない、との厚生労働省の見解です。

仮に麻疹に対する抵抗力がない子供が麻疹の患者さんに接触しても、すぐにワクチンを接種すれば麻疹にかかる危険は減ります。とはいえ、麻疹のかかり始めは症状が少ないこともあり、知らず知らず患者さんに接触している可能性も。ですから、母子手帳などの記録を調べて、ワクチン接種をしていない場合には、接種をお勧めします。

>>今回の流行の理由「ブースター効果」とは?>>
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