アスピリン喘息
Q:うちの子供が先日、初めて喘息のような発作を起こして病院に行きました。病院では「点滴をする前に確認しないといけないのですが、これまでに食べ物や薬などを摂取した後に発作が起こったことはありませんか?」と聞かれたのですが、どうして点滴と食べ物が関係有るのでしょうか。教えてください。お願いします。A:お答えします。成人の喘息患者さんの約1割が、アスピリンを代表とする解熱鎮痛薬で発作を起こす「アスピリン喘息」と言われています。子供にはまれと言われていますが、このような経験がある子供の場合、一般的な解熱剤や鎮痛薬を使ってはいけません。また、点滴の薬でもかえって発作を起こすことがあり、病院でも注意が必要なのです。
アスピリン喘息の特徴は以下の通りです。
- 薬を飲んでから比較的すぐに(30分~1時間以内)起こる
- 普段それほど重症でなくても、強い症状が起こり、命に関わることもある
- 一度起こると飲んだことのない薬でも起こる可能性がある
- 子供よりも大人(30歳以上)の方が多い
- 慢性鼻炎や鼻茸にかかっていることが多い
それでは、そのような子供が熱を出したときにはどうすればいいのでしょうか。解熱鎮痛剤の中で、アセトアミノフェンという薬はまず安全と言われていて、喘息の子供にはまずこれを使っています。そのほかにも塩基性解熱鎮痛剤(ソランタール・メブロンなど)という系統の薬は比較的安全と言われていますから、これらから選ぶことになります。
解熱鎮痛薬以外に気をつけるべきもの
薬を飲む前には要注意 |
コハク酸エステル型のステロイド
- ソル・コーテフ
- サクシゾン
- 水溶性プレドニン
- ソル・メドロールなど
他にも痛み止めの湿布薬には鎮痛剤が含まれています。これを貼ることでその成分が吸収されると、発作が起こることがありますので十分な注意が必要です。
また薬以外では、食品添加物の黄色4号(タートラジン)・防腐剤の安息香酸ナトリウム・パラベンや食べ物でもサリチル酸化合物を含むトマト・イチゴ・キュウリ・柑橘類・ブドウ・その他一部の香辛料にも含まれています。アスピリン喘息とはっきりしている場合には、このようなもの・食品にも気をつける必要があります。
病院では必ず伝えて
アスピリン喘息を起こすときには強い発作が起きるので、上のような薬や食べ物は摂らないのが原則です。病院にかかって治療を受けるときには、必ずそういった経験があることを医師や看護師に伝えましょう。最近では多くの施設で点滴などの前にアスピリン喘息の有無を聞かれますが、念のためこちらから伝えるようにしておく方がよいでしょう。*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の診察室での会話をもとに構成したものです。診断・相談が必要な方、お子様が病気にかかった場合は医院、病院で実際に受診してください。
<参考リンク先>
アスピリン喘息(アレルギー情報センター)
喘息の正しい治療法と薬の正しい知識(PDFレポート)
喘息クイズ(ぜんそく大事点ブログ)