男のこだわりグッズ/手帳・ノート

Twitterを原稿用紙に移し替えた洒落心

Twitterの140文字を原稿用紙に仕立てた「Tweet-Sen」は、あの浅草の老舗満寿屋謹製。プロデュースは文具王こと高畑正幸氏。遊び心で作られているからこそ、本格的な原稿用紙でもある、小さな名品です。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド

140文字で完結する気楽さ

浅草満寿屋謹製「Tweet-Sen」10枚、105 円(税込)
文具王高畑正幸氏プロデュースによる特注品

Twitterが多くの人に受け入れられた理由は、色々あるでしょう。その理由の一つが、一回のつぶやきが140文字以内という制限にあるのは確かなとこ ろでしょう。もっと言えば、「はい」とか、「好き」とか、そんな一言でもOKという発言の場は、これまでの世界では、ほとんど無かったことです。かつて、 パソコン通信時代でも「一言レス」は嫌われたものです。そんな制約がなくて、しかも、自分の呟きを聞きたいと思ってくれた人だけに届くから、「新宿なう」 なんてことが言えるというのは、本当に気楽です。

長くても140文字。というのも「書く」というプレッシャーに負けずに済みます。それでいて、その気になれば、完結した1編の小説を書くこともできます。 さらに、Twitterに慣れてくると、その140文字というのが一つのリズムになって、その文字数に収まる程度の内容を伝えることが、とても楽になって きます。一息で書けるというか、一気に書けるというか、そんな感じです。

文具王の冗談的つぶやきから始まったプロジェクト

Twitterから生まれたため、表記も@bungu_oに なっている

ならば、その140文字を文章の塊として考えても良いのでは、といった考えで登場したのが、twitter便箋、「Tweet-Sen」(通称「ついせん」)です。プロデュー スは、文具王こと高畑正幸氏、製作は原稿用紙の老舗、数多くの作家が専用原稿用紙を発注した、あの満寿屋です。つまり、これ、本格的な原稿用紙なんです ね。単に、フォーマットに工夫があるメモ用紙という訳ではないのです。140文字が書けるメモ用紙というだけなら、多分、多くの人が考えるだろうし、今 後、色んなところから発売されると思うのですが、それを、正しい原稿用紙として作ろうと考えたところが、この「Tweet-Sen」の魅力だと、ガイド納 富は思います。

満寿屋独自の横長い升目はTwitterカラーの水色の罫線

手に取ったとき「いいな」と思えるのです。その後で「面白いな」と思ったりするのですが、まず、「モノ」として、原稿用紙として、「いい」のです。アイ ディア文具ではなく、書くための文房具にアイディアが詰まったものと言ったところでしょうか。特に万年筆での書き心地の良さと、柔らかいタッチ、少しだけ 黄色い紙の目に優しい色の良さは、もうオーバースペック以外の何ものでもありません。そこまで作ってあるからこそ、Twitter用便箋というアイディア が、きちんと洒落になるのです。そもそも、文具王が今年の初め頃にTwitter上でつぶやいた「今年の夏までに、140文字書けるメモが登場するに違い ない」という感じの冗談予言から始まったものです。だからこそ、ちゃんと洒落になってるわけです。

メモ帳ではなく原稿用紙であるということ

升目だけでなく、上部には吹き出し風のスペースも用意

で、アイディアの元はTwitterですが、こうやって原稿用紙になってしまえば、これはもうTwitterとは直接関係はありません。でも、まるで Twitterのように、誰かに、とても気楽に文章を渡すことが出来るかも知れません。Twitterで呟いた、ある日の言葉を保存しておくためのツール にすることも出来ます。逆に、Twitterの下書きに使うことも可能ですが、そこまでして書いた呟きは、ちょっと重いので、ガイド納富はあまりお勧めし ません。大事なのは、まるでTwitterのようにシンプルで単機能だということでしょう。文具王本人も、その点には、しっかりとこだわったそうです。

書いてみた。買い物リストにも、待ち合わせの連絡にも使える
横長の升目は、書きやすく読みやすい(字が汚くてすみません)

また、Twitterの、一つ一つのつぶやきが、それぞれ完結した言葉の塊であるように、メモ帳のように綴じられているのではなく、1枚1枚独立した原稿 用紙になっている、というのも、この「Tweet-Sen」が、まるでTwitterのように使える秘密の一つ。その1枚で完結する、という事が、書くこ とへのストレスを軽くするのは、冒頭で述べた通りですし、人に渡しやすかったり、自分のための言葉として保存するのにも向いています。実際に、文具王が、 イベントのアンケート用紙代わりに使っていたのですが、答える側の「書きたい」という気持ちを増幅するのか、とてもしっかりと書かれたアンケートが集まっ ていました。


京都の書家HILOKI氏に書いてもらった。独立した原稿用紙ならではの味わいが感じられる。升目に拘らずに書くのも良い感じになるのだ。

表題と本文が書けるようになっているから、汎用性も中々のものです。上部にレース名を書いて、原稿用紙部分に買い目を書けば、競馬のメモとして使えます。アーティストに、サインと一言を書いてもらったり(上の写真は、書家のHILOKI氏 に書いていただきました)、伝言メモとして使ったり、納品書とか、抜き書きとか、買い物メモとか。サイズが、文庫サイズの手帳や本にちょうど挟めるので、 持ち歩きにも、書いたメモの保管にも便利。これは実際に使っていて、とても重宝した点です。満寿屋ならではの、横長い升目も、書いてみると、行間が程よく て、とても読みやすい原稿が出来上がります。

ガイド納富の「こだわりチェック」


アイディアは、色んな可能性があって、それをどんな形にまとめていくかは、アイディアそのものと同じくらい重要なのだと思うのです。「Tweet-Sen」は、そのアイディアと実際の形が、とても幸せなレベルでバランスがとれていて、だから、洒落が利いていて、しかも実用的で、さらにこれが一番大事な部分ですが、「使いたい」という気にさせる製品になっているのです。ほんと、何か書きたくなるんですよ。

そんな「Tweet-Sen」ですが、入手先が限られています。現在 のところ、大阪の文具店「フラナガン」と、東京は小石川のカフェ「橙灯(だいだい)」の店頭でのみ、購入できます。ネットでの入手は、今のところ出来ません。ただ、文具関係のイベントなどで配布されたり、突然、どこかで販売されるといったことがありそうです。その当たりの情報は、文具王、または信頼文具舗のTwitterをチェックしてみてください。ハッシュタグは「#tweetsen」です。


<関連リンク>

文具王高畑正幸氏のTwitterはこちら
信頼文具舗和田さんのTwitterはこちら

小石川のギャラリーカフェ「橙灯(だいだい)」のホームページ
(「Tweet-Sen」の販売は店頭でドリンクとのセットのみです)
大阪の文具店「フラナガン」のホームページはこちら
(「Tweet-Sen」の販売は店頭のみです)

原稿用紙の老舗、満寿屋のホームページ
(「Tweet-Sen」の扱いはありません)

書家HILOKI氏のホームページはこちら

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