紙である事の魅力と欠点
SIWA|紙和の製品たちは、こんな風にパッケージされている |
紙袋の魅力は、何と言ってもその軽さにあります。そして、シンプルとしか言い様がない、四角い形も、妙にデザインされたものに疲れた目には、とても潔く、スタイリッシュに見えます。前に、糸井重里氏の「ほぼ日」で売っていた「ザンバノさんの紙袋」は、そんな紙袋のスタイリッシュな形と気楽さ、軽さに目をつけた、優れ物のナイロンバッグでした。
例えば、紙でブックカバーを作るのは簡単です。しかも、良い和紙などを使うと、とても手触りの良いカバーになります。それを使っていると、とてもいい具合に皴が寄ったり、角が丸くなったりして、とても良い感じになるのですが、そうなると、間もなく破れてしまいます。この破れやすさや、水に弱い事など、要するに耐久性の問題で、どうしても紙製のグッズは、その場で使い捨てるような使い方になってしまいます。つまり、製品としては成立しにくいものでした。
SIWA | 紙和「バッグ スクエアM」各色3,990円(税込) 色は他に、赤、グレー、ブラウンがあります |
それだけに、SIWAの製品を見た時には、かなりのインパクトがありました。どう見ても、使い古したような皴が寄った、何とも風合いの良い紙の袋なのに、触ってみても、温かで、しかもクシャクシャとした紙らしい感触と、長く使ってけば立った和紙の手触りがするのに、引っ張っても破れず、水にも強いというのだから、ガイド納富も驚いてしまいました。
紙袋のように軽く、アンティークのようにしっくりと
破れにくい和紙ソフトナオロンを染めて皺加工した素材を使用 |
平たく言ってしまえば、SIWAの魅力は、その素材に尽きるとは思うのです。紙の原料であるパルプと、不織布などに使われているポリオレフィン繊維を混ぜて、和紙の製法で漉いたも「ナオロン」という素材に、デザイナーの深澤直人氏が「クシャクシャにした時の、皴の風合いが良い」と惚れ込み、ディレクションして出来上がったのが、SIWAというブランド。つまり、ナオロンという素材ありきでスタートしたということです。
しかも、この素材、障子紙の五倍の強度を持ち、水に濡れた状態の方が強度を増すということなので、確かにカバンに向いています。そうやって作られたのSIWAブランドの製品の一つが、上の写真の「バッグ スクエアM」です。この、敢えてクシャクシャにして皴をテクスチャーのように見せるアイディアが凄くて、実物を手にすると、そのカッコ良さにクラクラします。何と言うか、それだけで、ガイド納富は購入を決めてしまいました。その時は、何に使うとか全く考えていませんでした。
しかし、実際使って見ると、その利用範囲の広さに、また驚いてしまいました(何か、驚いてばっかりですが)。とにかく軽いので、図書館に大量に本を借りに行くのに便利でした。耐荷重が10Kgあるので、たっぷり本を借りても大丈夫です。また、くるくると丸めれば、他のカバンに入れて持ち運べるので、出先で荷物が増えた時にも助かります。しかも、何とも見た目が良いのです。紙袋の安っぽさがなくて、でも、紙袋の良いところは全部持っているのです。
紙袋的な大きさ、カバン的な大きさ
A4ファイルも楽に入るサイズで、収納力はかなりのもの |
サイズは、縦横約32cm×32cm(マチ幅は11.5cm)で、LPレコードが入ります。なので、A4の雑誌はもちろん、A4のファイルも入るので、仕事にも十分使えます。この大きさは、よくある大型の紙袋と幅やマチがほぼ同じで、高さだけ低くしたサイズ。その大きさのバランスも、このカバンを紙袋的に見せている原因だと思います。
中を見ると、ナオロンを二重にして縫製してあり、縫い目もキレイで、とてもしっかりした印象があります。そこが紙袋との大きな違いであり、このカバンの見た目からは信じられない、耐久性と強靱さの証でもあります。
太い把手は、紙袋とは一味違うところ。縫製も丁寧だ |
SIWAのカバンとしては、このスクエアMの他に、縦が27cm、横が22cmで、下辺の角を丸く仕上げた「ROUND」や、ナオロンをメッシュのように編み上げたタイプのカバンなども用意されています。色も、黒の他に、赤、グレー、ブラウンと揃っていて、それぞれに特徴ある風合いを感じさせてくれます。