手元にある目覚ましでは起きられないという現実と発想
ナンダ社「ナンダクロッキー」 |
目覚まし時計は、放っておくと寝過ごしてしまうという人が、確実に起きるために使うものです。だから早起きが苦にならない人には、起きられないポイントが解らなかったりします。とにかく大きな音を立てれば起きるだろう、程度のアイディアでは、ほとんど解決にならないのが、目覚まし時計の奥が深いところなのです。
その点、この「ナンダクロッキー」は、朝起きられなくて悩んでいた女子大生が考えた、という部分だけでも説得力があります。人生を振り返ってみても、大学生の頃ほど朝起きるのがツライ時期はなかったように思います。しかも「ナンダクロッキー」を開発したガウリ・ナンダさんは、その当時「起きられないなら目覚ましをベッドの反対側に置いておけばいいじゃない」という提案に、「場所が解ってると、寝ぼけてても止めに行ってしまう」と答えたそうですから筋金入りと言えるでしょう。
その彼女が、マサチューッセッツ工科大学のメディアラボに在籍していて、自走する目覚まし時計というアイディアを思いついた頃に「産業デザイン・インテリジェンス」という授業の中で、アイディアをデザインに結びつけることを学んだことが、この製品の完成に繋がったのだそうです。実際、使ってみると、「目覚まし時計」としての役割と機能、自走することへの配慮と、その特徴そのものをデザインに落とし込んでいくアイディアなどに気がつきます。
思ったより小さく、愛嬌がある「相棒のような目覚まし時計」
女性の手のひらに乗るコンパクトなサイズ
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「ナンダクロッキー」が凄いのは、もちろん、かなりちゃんと起きられるという、その実効性(ガイド納富及び小学生五年生の息子で実証済み)なのですが、それ以前に、「これなら使ってみたい」と思わせるルックスが、見事に機能と融合していることだと思うのです。
まず、写真やテレビで見るよりも実物を見ると、思ったより小さいのです。本当に女性の手のひらに乗るサイズで、ベッドサイドに置いても邪魔になりません。それでいて、時間の表示部分は大きめなので、寝ながら時間の確認も出来ます(そう、遠くに目覚ましを置くと、この寝ながらの時間確認ができないんですよね)。
それに加えて、前面の二つのボタン(アラームのオンオフと車輪のオンオフ)と時刻を表示する液晶画面の配置が、ちょっと顔のように見えるようになっています。で、動き回って、音を立てるわけで、それはもう、時計というより電子ペットに近いのです。「こいつに起してもらおう」というような。実際、ナンダさんは、かつて飼っていた猫に起されたことをイメージしたと語っています。
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