デジタルレコーダーと組み合わせて補聴器として使う
Victor「alneo XA-C51」(16,000円・税込)と組合せて |
取材時に瀬戸さんに教えていただいた面白い使い方が、ビクターのデジタルレコーダー「alneo」と組み合わせた、補聴器としての利用です。要するに、デジタルレコーダーのマイクから入る音を、inCoreで聞くという使い方。ハウリング防止などのために、聴こえる周波数を狭くして、しかも中音域を増幅している補聴器では、人の声とテレビなどの音を同時に聞くことが出来ません。また、イヤフォン部分が貧弱なため、決して聞きやすい音ではありません。
その点、inCoreならば、周囲の音をあらかじめカットできるし、幅広い周波数の音を、高音質で、しかも高い了解度(何を言っているのかが分かる度合い)で聴けるため補聴器としてうってつけです。様々なデジタルレコーダーを繋いでみた結果、このビクターのものが一番良好だったのだそうです。「昔と同じ歌声が聴こえる」と、お年寄に好評なのが嬉しいと瀬戸さんは、本当に嬉しそうに話してくれました。ナップエンタープライズ社ではこのレコーダーとinCoreのセット販売も行っているそうですので、興味がある方は、是非直接問い合わせてみてください。
音質は微妙なバランスの上に成り立っている
この2ccの本体の中に絶妙のバランスで
各部品が組み上げられている |
補聴器にもなり、イヤフォンマイクにもなり、高音質イヤフォンにもなるinCoreですが、その多機能のために、例えばオーディオ機器としてのみ使いたいという場合、途中に入るスイッチボックスや、携帯電話用のコネクタ、イヤフォン本体に仕込まれたマイクなど、不要なものが多いのは、やはり気になります。オーディオ専用のinCoreがあれば、見た目もスッキリするし、ケーブル周りも片づくし、コスト的にも安くできるのではないかと思ったのです。
そして、同じようなことは既にナップエンタープライズ内でも検討されていたようで、いくつかの試作品を試すことが出来ました。ところが、これが、あまり良くないのです。マイクを抜き、スイッチボックスも無くし、同じドライブを使っているのに、音が良くないのです。不思議なことに、製品版のinCoreの、マイクがはいっていない側のものを左右につけても、マイクがはいってるものを左右に付けても、やはりイマイチなのです。さらに、ドライブを左右各2個づつ付けたタイプでも、標準のものに比べて、もたついた音がします。
たった2ccの中で、本当に微妙なバランスの上で音質が決まっているということが良くわかりました。実際、inCoreは音質に関して個体差が激しいため、出荷前に一個一個テストして、微調整した上で出荷しているのだそうです。
ガイド納富の「こだわりチェック」
店頭の視聴用ポップ。自分のiPodなどを
繋いで試すことができる |
このinCore、なかなか細かい部分も行き届いています。例えば、ケーブルと本体を繋ぐ部分などの、ケーブルが破損しやすい部分は、カバーが長めに作られていて(ロングブッシュ構造をいち早く採用)、耐久性を維持していたり、マイクが耳の中の声を拾うため、音声認識に使った時に偽造が難しいなど、使うほどに魅力を発見できます。確かに、電話との切替えスイッチ部分が大きかったり、ケーブルの長さの調整が難しかったりと、欠点もあるのですが、それ以上に、音の粒が良く聴き取れることや、クッキリとした輪郭がありながら、聴き疲れない音質が気に入って使い続けています。
デザインが多少野暮ったいのも、inCoreの欠点だとは思うのですが、ボディの素材も試行錯誤の上で選んだのだそうですから、これも、下手に弄ると音質が変わりそうですね。「デザイナーさんに、機能を取るか見た目を取るかです、と言われて機能を取ったんです」とは瀬戸さんの弁。確かに、デザインを犠牲にしただけの価値がある、音質の良さと、耳への優しさです。
購入にあたっては、全国に試聴できるスポットがあるので、そこで聴いてみるのも良いと思います(販売店、試聴スポットのリストは、ここから)。しかも試聴後に購入するとさらに割引になるそうです。今キャンペーン中で15,000円になっている(2007年12月31日まで)のが、さらに安くなるわけです。ガイド納富の個人的な感想として、このinCore、オーディオ用のイヤフォンとしても、30000円前後の製品のクラスの音が出てると思うので、これはお買い得でしょう。
取材協力・撮影:内山善文(yumdesign)
<関連リンク>
・inCoreの公式サイト(音が出るので注意)
・ナップエンタープライズの公式サイト
・inCoreを購入できる店、試聴できる店のリストはこちら
・対応する携帯電話のリストはこちら
・ビクターのデジタルレコーダー「alneo」のサイトはこちら