ドイツから来たギャラリースコープという発想

エッシェンバッハ光学「PanoramaClub M」
20,790円(税込)

ドイツの老舗光学メーカー、エッシェンバッハ光学は、世界有数のルーペのメーカー。ガイド記事でもルーペを取り上げたことがありますが、そのコストパフォーマンスやデザイン性、使い心地など、専門メーカーの実力を見せつける出来の良さでした。特に、レンズ性能の高さと、それを扱いやすい形で提供するデザイン(ユーザーインターフェイス)の良さは群を抜いていたと思います。

そのエッシェンバッハ光学が提唱した、単眼鏡の新しいコンセプトが「ギャラリー・スコープ」です。つまり、美術館や博物館などで、作品をより詳細に見るための小型の望遠鏡。これまでも様々な望遠鏡はあったのですが、美術館などでの利用に特化して作られたものは、寡聞にして知りませんでした。時々、美術館内で簡易オペラグラスなどを貸してくれる所があって、中々便利だと思っていたのですが、このギャラリースコープ「PanoramaClub M」を使ってみると、やはり専用に作られたものは一味違うと、その使い勝手の良さに感心してしまいました。

作品を近くで見ることが出来る快楽

レンズはマルチコートのアクロマートレンズを搭載

美術作品は、少し離れたところから全体を見るのが好きだという方も多いと思うのですが、ガイド納富は、間近で見ることも大好きです。特に、若冲や蕭白といった、そのタッチや技法に特徴がある日本絵画などは、作者が描いている時の距離で作品を見ることで、全体を見るのとは違った、作者の意図や息遣いを知ることが出来るような気がするのです。浮世絵の着物の柄のような細部も、近い距離で見たいものの一つです。

他にも、洋画の巨大なものの細部や、ガラスケースの向こうの絵に少しでも近づきたい時、沢山の人波の中で、遠くにしか作品が見えない時などなど、美術館や博物館で望遠鏡が欲しいと思うシチュエーションはいくらでもあります。美術館には望遠鏡持参というのは、知っている人にとっては、多分、当たり前のことなのだと思います。しかし、この「PanoramaClub M」は、ただの望遠鏡ではありません。美術館などに持っていくことに特化した専用機なのです。

ガイド納富が実際に美術館で使ってみて、まず感心したのは、対物レンズが長方形になっていることでした。このため、レンズ越しに覗いた時に、視野は上下が平行で左右が楕円気味の角丸長方形になります。これが、作品を見るのに、とても良い感じなのです。通常の望遠鏡のように視野が丸いと、何となく覗き見をしている感じになるのですが、長方形だと自然に近づいて見ている感じなのです。縦構図の絵は、本体を90度回して縦長の長方形にして見るのも面白い感じでした。

覗きやすい接眼部。左右にストラップを装備

また、接眼レンズ部分は、丸くゴムの出っ張りがついているので、眼鏡をかけたままで覗いても、眼鏡に傷がつかず、また目に直接当てる場合も、ほどよく柔らかいので、作品を見ることに集中できます。また、手のひらに乗るサイズなのに、長方形にした分レンズ口径が大きいせいか、明るさはF4と、かなり明るく、実際、かなり暗めの照明の下絵でも、しっかりと細部を確認することが出来ました。絵画は照明でも劣化するので、照明が暗めの場合が多く、このレンズの明るさは有り難いものでした。

指一本で素早くピントを合わせられる操作性の良さ

銀色のプレートを左右にスライドさせてピントを合わせる

倍率は8倍。通常、ガラスケースにはいった絵は、見ている人の位置から約2メートルくらい離れています。なので、この「PanoramaClub M」を使えば、ガラスケースの中の絵が、目の前約25センチの位置に来ることになります。これは、ガイド納富が見たいと思っている、作者の製作時の目の位置に近いのではないでしょうか。実際にも、ちょうどいい感じで絵を拡大できると感じました。

しかも、操作性がとても良いのです。全体がラバー素材で包まれていて、手に吸い付くように持てますし、ピントもプレートを指

ストラップがついているので、館内では「PanoramaClub M」を首からさげておいて、近くで見たい作品の前で片手で目にかざし、指先でピントを合わせて細部を確認、という作業が片手だけでスムーズに行えるのです。しかも平たい構造の上にラバーで守られているので、首からさげていても邪魔にならず、また本体も美術館も傷付けることがありません。身に着けていることを忘れるほどの軽さ(65g)ですし。


ガイド納富の「こだわりチェック」

革の収納ケースとクリーニング用のクロスが付属する

この「PanoramaClub M」は、使えば使うほど、その細かいところまで考えて作られていることが分かって、しみじみと「良い道具だなあ」と思わせてくれます。例えば、ストラップが本体の左右側面から出ているのですが、この構造のおかげで、首からさげている時に本体が不用意に回転せず、歩いていても邪魔にならないのです。また、手に取る時にも必ず上部が前を向いているので、すぐに観賞体勢に入れます。

面倒なレンズキャップをなくして、レンズ前面には透明のフィルタとラバーの突起を配してレンズを保護しているのも、心憎い配慮です。ピント調整時にもレンズは本体のフィルタの内側で動く構造で、外側に突き出したりしないのも使いやすさに繋がっています。そして、何より、シンプルなデザインと、手のひらにキレイに収まるサイズバランスの良さが、「持っている悦び」を与えてくれます。

美術館や博物館に限らず、街には作品が溢れています。建造物に遺跡など、近くで見たいものもあちこちにあります。生活の中で、旅行の途中で、ビジネスの中で、「PanoramaClub M」の出番は、意外に多いと思うのです。手帳や万年筆同様、常にポケットに忍ばせておきたい、大人の七つ道具の一つになり得る名品だと思っているのですが、いかがでしょう。


<関連リンク>

エッシェンバッハ光学「PanoramaClub M」の解説と購入はアシストオンで
エッシェンバッハ光学の単眼鏡ページ(3.5倍のタイプもあります)
エッシェンバッハ光学ジャパンの公式サイト

エッシェンバッハの一台三役ルーペ「viso-flex」のガイド記事



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