ペンケースに求めるもの

YMSK「ペンホルダー・イエロー」
価格3,675円(税込)色は他にブラック・ブラウン

子供の頃は、普通に筆箱を使っていました。上級生になると缶ペンケースとか、布製のポーチ風のものなど、それぞれ好みのペンケースを使うようになります。振り返れば、それが持ち物のデザインにこだわりを見せ始める最初だったような気もします。ペンケースを新調するのに、文具屋や雑貨屋で延々と悩んだことを憶えています。

そんなペンケースも、いつの間にか使わなくなってしまいます。ペンは手帳などのペン挿しやポケットなどが定位置になり、それでも、万年筆売り場などで、革のペンケースを見ると、ふと欲しくなったりする人は多いようで、ガイド納富も「いいペンケースってない?」と聞かれる事がよくあります。

ただ、現在主流のペンケースは、ペンそのものを保護するタイプか、大量の筆記具をまとめて持ち歩くタイプのどちらかに分かれ、普段使いのペンケースは、かつて小学生の頃に使っていたものと、あまり変わらなかったりするのです。それはそれで良いのですが、でも、私たちが普段使いのペンケースとして求めているものとは、何かが違う、という感じがしていました。

そんな中で、山崎宏氏のデザインによるペンホルダーを見つけた時、何をペンケースに求めていたのかが分かったような気がしました。それは多分、「カバンに入れて持ち歩く」ということを中心に考えた、携帯性の高さと、スマートに出し入れできる機能性。それに大人が使う「モノ」としての質感。

それぞれはささやかな要求だけど、微妙に相反している要素をまとめたペンケースというのが、中々見つからなかったということなのだと思ったのです。特に「取り出しやすさ」というのは、何故か「大人のグッズ」と相性が悪かったように思います。

ファスナーもフタも無い、ケースですらない

この円の中にペンを差し込んで使う

見れば分かるように、このYMSK"ペンホルダー"は、細長い革の側面を縫い合わせて、前に丸い穴を開けただけです。底も縫い合わされていないので、ケースにもなっていません。でも、だからこそ、とても使いやすいのです。

ペンを入れてクリップを穴から引っ掛けることでペンを固定します。筒状になっているから、側面を軽く押さえるだけで、ペンを差し込む部分は広がりますから、出し入れがとてもスムーズです。底が縫い合わされていないのも、このスムーズな動作を実現するためと、ペンを入れた時の革の膨らみが美しくなるようにするためです。ここでも、デザインと機能が融合しているわけです。

このペンホルダー、使ってみると分かるのですが、「書こう」と思って取り出してから書き始めるまでが、とにかくスムーズで速いのです。同じように、ペンを収納する手間がほとんど要らないので、これもまた速いのです。フタを開けたり、ファスナーを上下したりといった操作が何も無いのですから当然の速さなのですが、この速さは「ペンはポケットに」という方にも納得してもらえるのではないかと思うのです。


ガイド納富の「こだわりチェック」

ペンが窓から顔を出しているようにも見える

ペンは、普通の太さのものが2本、細身と太いものといった組み合わせでもイケますし、太めの万年筆を1本入れて使うことも出来ます。この2本、というのも面白いのです。例えば、シャープペンと万年筆、ボールペンとカラーペンなど、その日の自分が使うための最小限の2本を厳選する愉しみ。

出し入れが楽なので、出かける前に色々悩んで、思いついたら、その2本をさっと入れてカバンに放り込む。そのスムーズで速い動作もまた楽しいのです。ガイド納富は、通常、これにはアイディアメモ用のファーバーカステルのシャープペンと、愛用のラミー「スウィフト」を入れていて、気分によってボールペンを変えたり、仕事によってはシャープペンの変わりにステッドラーのカラーペンを入れたりしています。

素材も、天然のタンニン鞣しをほどこした「Buttero」というイタリアンレザー(ヌメ革)で、しっとりとした触り心地と、しなやかな風合いがとても気に入っています。色は、写真のイエローの他、ブラック、ブラウンがありますが、このデザインにはイエローがとても似合っているように思います。

ペンケースというと、写真で見るとカッコいいけど、実物を手に取ると思ったよりデカイ、ということが多いのですが、このケースは、その造りのシンプルさのおかげで、収納できるペンの長さの割に、見た目もスマート。ここまで毎日持ち歩くのに最適な仕上がりのペンケースは中々無いんですよね。


<関連リンク>

アシストオンのYMSK"ペンホルダー"商品紹介&購入ページ
デザイナー山崎宏氏のプロフィール
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