男の腕時計/その他の国の時計

マックスビル バイ ユンハウスの簡潔な美

バウハウス最後の巨匠と謳われるマックス・ビルがドイツのユンハウスのためにデザインした傑作時計は今なお健在。複雑多様化した現代時計の中で、シンプルな機能美が際立つその時計は、一服の清涼剤だ。

執筆者:菅原 茂

袖口で表現する簡潔な美

マックスビル バイ ユンハンス ハンドワインド
マックスビル バイ ユンハンス ハンドワインド
手巻き、ステンレススティールケース
8万4000円

ユンハンスは、幅広い製品を展開するドイツの時計メーカーだが、古くから時計好きが注目してきたモデルに、「マックスビル バイ ユンハンス」がある。マックス・ビル(1908~1994)は、スイスに生まれ、ドイツのバウハウスでグロピウスやクレー、カンジンスキーに師事して研鑽を積んだデザイナーだ。その業績は建築をはじめ、あらゆる分野に及ぶ。

彼が1956年から57年にかけてユンハンスのためにデザインしたウォールクロックは、モダンアートの永遠の傑作として知られ、ニューヨーク近代美術館の永久保存品になっている。1962年には、同様のスタイルの腕時計もデザインし、現在のコレクションへと引き継がれている。

マックス・ビル バイ ユンハンス クロノスコープ
マックス・ビル バイ ユンハンス クロノスコープ
自動巻き、ステンレススティールケース
19万9500円

その特徴は、幅を最小限に抑えたベゼルや、ケースの縁ぎりぎりまで広がる文字盤、細長いバーインデックスやごく控えめなアラビア数字にあり、どこまでもシンプルを極める。機能を数多く搭載し、立体的な文字盤によって個性を創り出す最近の時計の傾向とはまったく対極にある。マックス・ビルのデザインが半世紀を経ても色褪せず、いつまでも見飽きないのは、無駄をそぎ落とし、最小限の本質的な要素だけで構成されているからだろう。

現在の「マックス・ビル バイユンハンス」には、腕時計が3種類、ウォールクロックが2種類ある。腕時計は、手巻きの中3針(日付表示付きのタイプも有)、自動巻きの日付表示付き中3 針、そしてクロノグラフ機能を備える「マックス・ビル バイ ユンハンスクロノスコープ」。文字盤を覆うドーム型プレキシガラスの味わいがまた秀逸。中3針で8万4000円から11万7600円、クロノグラフで19万9500 円から21万円という手頃な価格も非常に魅力的だ。


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