男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

新生マーヴィンがいよいよ日本上陸

1850年に遡るスイスのマーヴィンは、歴史は古いが日本では知る人ぞ知る存在。2007年に復活して以来、リーズナブルな価格の魅力的なモデルを発表。10万円を切るスタイリッシュな機械式時計がいま話題だ。

執筆者:菅原 茂

「お手頃」を超えた驚異のコストパフォーマンス

オリジン
オリジン
自動巻き、ステンレススティールケース
9万9750円

ブランドの起源は、1850年にスイス、ジュラ山脈のサンティミエでディディシェイム兄弟が始めた小さな時計ビジネスに始まる。20世紀に入って、腕時計が本格化すると、1930年代にとくにアメリカ市場で人気が高まっていった。だがその頃は、まだ正式名称がなかった。そこで当時の顧客が、自分のファミリーネームの“MARVIN”をブランドネーム用に提供したという。マーヴィンは、1930年代の有名なドライバーズウォッチにはじまり、クロノグラフやアラームウォッチ、クロノメーターなどで人気を博した。革命家チェ・ゲバラの愛用時計もマーヴィンだった。

こんな歴史背景があるマーヴィンだが、特色はまず、現代的な感覚のフレッシュなデザインワークにある。その代表モデルが、ラウンドケースのシンプルな「オリジン」。ホワイト、ブルー、オレンジの3色の文字盤バリエーションに加え、ケースも黒いトレンディなオールブラックまでもが揃う。デザインも計算され、細部の作り込みもよくできていて、しかもスイス製自動巻きムーブメントを使用して価格が8万円台と9万円台(ブラックモデル)とはまさに驚異のコストパフォーマンスだ。

M105
M105
自動巻き、ステンレススティールケース
13万6500円

長方形の湾曲レクタンギュラーケースを採用するモデルは、戦前のマーヴィンに相通じるものがある。初期のマーヴィンは、当時流行のこうした角形腕時計も得意としていたのだ。ドライバーズウォッチの「モトリスト」などはその代表である。

現代のコレクションのレクタンギュラーモデルの中では、「M105」がとりわけ凝っていておもしろい。一見すると、戦前に一般的だった日付を針で示すポインターデイトのように思えるが、肝心の日付針がなく、日付数字の外に置かれた小窓を赤い色が移動していく仕組み。文字盤の下で回転する日付ディスクに針の役割を担わせているのだ。日付針を用いないので、時刻表示の針との重なりも生じることはなく、文字盤全体がすっきりと見やすい。こちらも自動巻きで13 万6500円という破格の価格。「お手頃」を超えた満足感の高いモデルといえる。
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