懐かしくも新しい傑作の数々
フラッグシップ ヘリテージ 自動巻き、ステンレススティールケース 18万9000円 |
見本市の取材では、毎年数百点もの新作を手に取り、そこから技術やデザイン、素材などの最新トレンドを探っていく。まず最初に注目するのは、今までにない「新しさ」なのだが、必ずしもそれがすべてとは言えない。歴史のある著名ブランドの場合、最先端の要素をふんだんに採り入れた現代的なモデルと合わせて、ブランドの伝統を語る珠玉の復刻モデルもじつは少なくない。
今年は、取材者たちの間で「アンティーク調のロンジンが良かった」という声を多く聞いた。筆者も同感だ。われわれが注目したのは、今から50年以上も前に作られた傑作時計の復刻の数々。ヴィンテージ感あふれるクラシックな意匠は、先端時計の華やぎとは対照的だが、そこに独特の趣があり、いかにも通好みである。
フラッグシップ ヘリテージ クロノグラフ 自動巻き、ステンレススティールケース 32万5500円 |
まず最初に紹介したいコレクションが、1957年製作のオリジナルを復刻した「フラッグシップヘリテージ」。昨年のイエローゴールドに続き、今年はそのステンレススティール・バージョンが新たに登場した。スイス、サンティミエの本社にあるミュージアムには1832年創業以来の傑作時計が大量に保管、展示されているが、現代時計の源流になる1950年代のエレガントな紳士用腕時計のエッセンスがここにはみごとに再現されている。
モデルは中2針、スモールセコンド付きの最もシンプルな「フラッグシップ ヘリテージ」と、3インダイヤルの「フラッグシップヘリテージクロノグラフ」。ミッドセンチュリー・モダンのスタイルを伝えるゴールドの針とインデックス、今では希少な強化プラスティック風防などがいい味を出している。当時のモデルとの違いといえば、ケースが若干大きくなっている点と、最新の自動巻きムーブメントを搭載している点だ。ステンレススティール・ケースの採用により、新作の価格は、中2針で18万9000円、クロノグラフで32万5500円と手の届くリーズナブルプライスなのが嬉しい。