F.P.ジュルヌが3回目の「金の針賞」を受賞

2001年よりジュネーブ市が中心になって開催されている時計コンテスト「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(正式名称はフランス語で "Grand Prix d'Horlogerie de Geneve")」は、2001年に始まり、今年で8年目を迎えた。筆者も、世界で10人の審査員の一員として2003年から2006年まで選考にあたったが、年を追う毎に活況を呈するようになったのが実感できた。日本での知名度はなかなか上がらないのが難点だが、スイス時計界にとっては1年を締めくくる最重要イベントであり、ここでの受賞を特別な名誉と考えるブランドは少なくない。錚々たるブランドの要人たちが一堂に会する授賞式は、さながら著名な映画祭を彷彿させる華やかさだ。

2008年「金の針賞」。F.P.ジュルヌ「サンティグラフ・スヴラン」
2008年「金の針賞」。F.P.ジュルヌ「サンティグラフ・スヴラン」

さて、最高峰の「金の針賞」を授与されたのは、F.P.ジュルヌの「サンティグラフ・スヴラン」。F.P.ジュルヌといえば、フランス人独立時計師フランソワ=ポール・ジュルヌがジュネーブでブランドを興し、高級時計の頂点を極めるまでになった、いま最も脚光を浴びるブランド。その目覚ましい躍進ぶりはこの「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ」の群を抜く輝かしい受賞歴によく表れている。

現フランソワ=ポール・ジュルヌ
現代最高の天才時計師という名声をほしいままにするフランソワ=ポール・ジュルヌ(左)
まず2002年審査員特別賞「オクタ・カレンダー」、続いて2003年ベスト・メンズウォッチ賞「オクタ・リュヌ」、2004年金の針賞「トゥールビヨン・スヴラン」、2005年ベスト・メンズウォッチ賞「クロノメーター・スヴラン」、2006年金の針賞「ソヌリ・スヴレンヌ」、そして今年の金の針賞「サンティグラフ・スヴラン」というように、まさに、向かうところ敵無し、破竹の勢いという言葉がぴったりくる。彼は新作を発表するたびに受賞しており、高度なコンプリケ-ションに至ってはすべてのモデルがグランプリの金の針賞を獲得している。老舗の強豪ブランドがしのぎを削るこのジュネーブの時計コンテストで、これほどの快挙を成し遂げた人物は他にいない。

「サンティグラフ・スヴラン」は、今までとはまったく発想を異にする独創的なクロノグラフの設計が高く評価されたのは間違いない。驚くのが、100分の1秒の目盛りが刻まれたダイヤル上でクロノグラフ秒針が1秒で1周するその細かさと目にも留まらぬスピードである。つまり計測可能な最小単位は100分の1秒であり、理論上では、クロノグラフ秒針と目盛りから時速36万kmという速度を表示することができる。これまでの実績に照らしてみても、やはりグランプリにふさわしいモデルといえる。

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