男の腕時計/その他の国の時計

アラン・シルベスタインの新たな出発(2ページ目)

ユニークな色彩とフォルムによって時計をアートピースに変えたアラン・シルベスタイン。デビュー21年目を迎えた今年からスイス時計フェアへの出展をやめ,独自の形式で新作を発表。創作の進化もまた印象的だ。

執筆者:菅原 茂

ブロンズカラーによる新鮮な色彩感覚

「ブラック・コレクション」には、ダイバーズクロノグラフの「マリーン・クロノ」、曜日表示にスマイルデイを配したダイバー「マリーン」、定番のトリプルカレンダー・ムーンフェイズ・クロノグラフ「クロノ・バウハウス」、GMTとアラーム機能を組み合わせた「ル・レヴェイユ」、もっともシンプルな3針時計の「ベーシック」などを揃えるが、同じデザインで、チタンのケースにブラウンPVDを用いた「ブロンズ・コレクション」もある。

アラン・シルベスタイン「ブラウン・コレクション」の「クロノ・バウハウス」
「ブラウン・コレクション」の「クロノ・バウハウス」。チタン+ブラウンPVD、ブラッシュ仕上げ。自動巻きクロノグラフ。10気圧防水。143万8500円

写真や言葉ではとうてい伝えることが不可能だが、この「ブロンズ・コレクション」の色彩は、絶妙無比。なんとも形容詞しがたいブラウン系の色をしている。ブロンズは、2年前のトゥールビヨンなど以前から用いられたが、いろいろと試みた結果、今回初めて納得のいく色が得られたという。

アラン・シルベスタイン「ブラウン・コレクション」の「ベーシック」
「ブラウン・コレクション」の「ベーシック」。チタン+ブラウンPVD、ブラッシュ仕上げ。自動巻き。10気圧防水。81万9000円
アラン・シルベスタイン曰く「ブロンズは、ゴールドウォッチの代わりになるもの」。たしかにコレクションには、ステンレススティールやチタンを基本として、それをゴールドに置き換えただけのバリエーションモデルは存在しない。既存のメタル素材をただ単に用いたり、既成の仕上げを施すのは、誰にでもできる。独特の色出しはもちろん、独特の加工や仕上げを通じてメタルに新しい「生気」をもたらすことが、クリエーターらしい営みだと考えるからだ。彼は、デザイナーであるのと同時に、デザインを具現化する素材についても非常に注意を払うことで知られる。

ケースの側面を斬新なクロワゾネ・ラッカーで彩った最近の時計をご存じの方もいるだろう。自然からインスピレーションを得た色や柄のおもしろさがまず目に飛び込んでくるデザインではあるけれど、そこにも、メタルを従来のメタル以上のものに変容させるアラン・シルベスタインの錬金術のようなものを感じずにはいられない。今回のブロンズカラーのチタンをゴールドに喩えるのも、そのような意味がありはしないかと、ついつい深読みしてみたくなる。

これからは、時計フェアの過密スケジュールに縛られることなく、新作が熟成するごとに発表していきたいと展望を語ったアラン・シルベスタイン。21年目の新たな出発を心から祝したい。

【問い合わせ先】
モントレ ソルマーレ
TEL03-3833-4211
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