ミリタリーウォッチはベル&ロスの原点
熱心な時計愛好家の間ではよく知られるベル&ロスは、1992年に誕生したフランスの時計ブランドである。かつてのミリタリーウォッチを徹底的に研究し、その成果をベースにして、現代的なスタイリングを施したベル&ロスの製品は、なんといっても洗練された機能やデザインに特徴がある。「BR03-92 ミリタリー」。ステンレススティール・ケース(ブラックPVD)、自動巻き、ナイロン・ストラップ。34万6500円 |
航空、宇宙、海洋、地雷除去など、さまざまなシーンで活躍するベル&ロスの時計は、プロフェッショナル・ユースの「道具」を思わせながらも、味気ない無機質感はまったく感じられず、むしろ格好良さや、お洒落感が際立っているから不思議だ。本格機械式時計の愛好家のみならず、ファッション性を重視する人々にも広く支持されてきたのも、そうしたベル&ロスの時計づくりの賜物だった。
さて、先頃日本入荷となった「BR03-92 ミリタリー」は、大型スクエア・ケースが印象的な「BR」シリーズの最新作。2005年に初めて発表された同シリーズの「BR01」の46mmケースを42mmとやや小型化し、以前限定版として作られた「ヴィンテージ」シリーズのミリタリー・カラーを採用したレアなモデルだ。マット・ブラックPVD仕上げの精悍なステンレススティール・ケースと、グリーンがかった深いカーキ色の文字盤、そしてワンポイントの赤い“&”との組み合わせは、じつに絶妙。これまでのモデルの中で、もっともミリタリー色を強く打ち出した仕上がりである。視認性の高さにもベル&ロスらしさがよく表れている。
「ミリタリー」と謳った初のモデルは、「ヴィンテージ」シリーズで2004年に発表(左)。二重になった独特のストラップも話題に。「ヴィンテージ・ミリタリータイプ123」。ステンレススティール・ケース、自動巻き。24万1500円 |
先に述べたように、ベル&ロスの原点がミリタリー・ウォッチにあるとはいえ、この時計を軍用品マニアに向けて作っているわけではないだろう。迷彩柄ファッションが人気なのと同じように、あくまでも一種の遊び心と受け取るのが正解だ。そういうセンスをわかって着けてこそ、ミリタリー・テイストも引き立つのだ。
裏蓋のないケースの厚さ9.7mm。比較的薄く、腕にフィットしやすい。 |
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