発想の転換から生まれたエレクトロ メカニカル ムーブメント

ストップ・ウォッチ機能を備えるクロノグラフを、ムーブメントの種類で分けると、伝統的な機械式とクォーツがあるのはご存じの通り。アナログのクォーツ・クロノグラフは、駆動機構がクォーツ方式になっているだけで、センターの計測秒針や積算計などの表示自身は機械式をそっくり模したものに他ならない。1980年代始めにクォーツ・クロノグラフ・ムーブメントが発明されて以来、今まで革新は見られなかったのである。

タグ・ホイヤー「リンク クロノグラフ キャリバーS」
「リンク クロノグラフ キャリバーS」。ステンレススティール・ケース、径41.9mm、200m防水。クォーツ・クロノグラフ。33万6000円
タグ・ホイヤーが発表した「リンク クロノグラフ キャリバーS」は、完全に発想を転換して機械式の真似から脱却し、クォーツ・クロノグラフを進化させた「エレクトロ メカニカル ムーブメント」を採用した点が非常に興味深い。このムーブメントのキャリバーSは、特許取得済みだ。

この腕時計は、時計モードとクロノグラフ・モードの二つがあり、どちらも全機能を同じ針で行うという前代未聞の設計だ。まず、クロノグラフ・モードでの針の動きは次のようになる。リューズを押してモードを切り替えると、すべての針がゼロ位置にリセットされ、時計からクロノグラフへと変身。スタートボタンを押すと、センター秒針が計測を始める。もう一度ボタンを押してクロノグラフをストップさせたときに、例えば針が2時34分56秒を指していたら、それが経過時間になる。つまり、文字盤全体が大きな積算計の役割を果たすので非常に見やすい。

それだけではなく、左右の半円形カウンターで1/10秒と1/100秒まで精密に表示する。ちなみに、時計モードだと、この半円形カウンターが、2099年までのパーペチュアル・カレンダーを演じるから、なんともスゴイ。クロノグラフ作動中に時刻を見ることも可能だ。通常の機械式クロノグラフではできない芸当だ。


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