隠れたる20世紀の名デザイン
「コレクション プリヴェ カルティエ パリ」のもう一つの注目モデルが「クロッシュ」と呼ばれる腕時計である。ご覧のように、非常にユニークな形のケースが特徴。クロッシュが、フランス語で「鐘」を意味することから、その形が納得されるだろう。原型は1920年代にまで遡る。「コレクション プリヴェ カルティエ パリ クロッシュ」。100本限定で復刻されたこのモデルは、カルティエの偉大な遺産をあらためて発見させる。18Kイエローゴールド・ケース。手巻き。予価242万5500円 |
この腕時計のおもしろさは、フォルムばかりではない。文字盤をよく見ていただくとわかるように、12時の位置がリューズのところに置かれている。1から12時のローマ数字が通常の文字盤とはちがい、90度時計回りにずれて描かれている。しかも、ケースの形に沿って、目盛も曲線と直線の部分が巧みに連続しているという凝りよう。
腕に着ければ、少々アバンギャルドなシンプルウォッチとして楽しめるし、腕から外してテーブルに置くと、まさしくクラシックで格調高い「置時計」へと変身するわけだ。遊び心もあれば、なかなか洒落っ気も利いている。カルティエの、とくに戦前の腕時計には、顧客を楽しませる洒脱なセンスを発揮したものがじつに多い。この「クロッシュ」もそうした名作の一つ。復刻を大歓迎する時計好きは少なくないはずだ。
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カルティエ インフォメーションデスク TEL03-4335-1765
※All Aboutマガジンの「For M」と「For F」にて、2007年バーゼル・ジュネーブの特集を掲載中です。時計ジャーナリズムの第一人者である「男の腕時計」ガイドの菅原 茂氏と「ジュエリー・時計」ガイドの本間恵子氏が最新の時計事情を解説した時計ファン注目の特集。こちらも合わせてご覧ください。