男の腕時計/時計関連情報

ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ新潮流

2006年11月に開催された「ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ」。その受賞結果は、最近の時計トレンドを知る上で重要なヒントを提供してくれる。脚光を浴びる機械式時計は、どのような方向に向かって行くのだろうか。

執筆者:菅原 茂

2006年は完璧無比の複雑時計がグランプリ受賞!

2006年のグランプリを獲得したF.P.ジュルヌ「グランド・ソヌリ」
2006年のグランプリを獲得したF.P.ジュルヌ「ソヌリ・スヴレンヌ」

2006年のグランプリ「エギーユ・ドール(ゴールデン・ハンド賞)」はF.P.ジュルヌの超大作「ソヌリ・スヴレンヌ」が獲得した。チャイム機構が正時ごとに時間を自動的に告げるソヌリ機構と、任意の操作で現在の時刻を音に変換して告げるミニッツリピーター機構が組み合わされ、この種の複雑時計では、現在考えられる世界で最も完璧無比な域に到達したメカニズムがグランプリにふさわしいと大半の審査員が評価したのである。

フランソワ-ポール・ジュルヌ
2002年以来、応募作が毎年受賞してきたフランソワ-ポール・ジュルヌ
F.P.ジュルヌとは、現代の天才と絶賛されるフランス人時計師フランソワ-ポール・ジュルヌが1999年にジュネーブに創設した個人ブランドである。彼がジュネーブ屈指の老舗時計ブランドとして世界的に名高いヴァシュロン・コンスタンタンやパテック フィリップとともに過去5年にわたってグランプリ「エギーユ・ドール(ゴールデン・ハンド賞)」を独占してきたのは、他の追随を許さない際立った技術が注目されたばかりではない。独自の発想や設計に基づいた唯一無二の複雑時計を次々と発表して、スイスの高級時計界に新風を送り込んだ功績も見逃せないのだ。

1990年代に活発化した機械式時計の再評価と復興は、2000年あたりで一区切りがついた感がある。偉大なスイス時計の伝統を尊重しながらも、必ずしも過去の常識に縛られない時計づくりを目指したり、これまでにない「21世紀的スタイル」に挑む試みもここ数年目立ってきた。フランソワ-ポール・ジュルヌは、その最先端を行く若きニューリーダーという意味で、時計ブランドのトップや専門家たちからも一目置かれているのである。

【問い合わせ先】
F.P.ジュルヌ直営店
 TEL03-5468-0931

過去の主役も高度な複雑時計

「ジュネーブ・ウォッチ・グランプリ」について、別の記事で紹介したように、第1回は2001年に開催された。このときグランプリに輝いたのは、ヴァシュロン・コンスタンタンの「レディ・キャラ」という、時計全体がダイヤモンドで作られた絢爛豪華なジュエリー・ウォッチだが、翌年以降は技術の頂点を極める高度な複雑時計のまさに独壇場となった。

精巧な天体表示を主役にしたパテック フィリップの「セレスティアル」(2002年)、10日巻きという長時間パワーリザーブとトゥールビヨンを組み合わせた同じくパテック フィリップの「10-Days トゥールビヨン」(2003年)、特殊な設計のトゥールビヨンを採用するF.P.ジュルヌの「独立秒針付きトゥールビヨン・スヴラン」(2004年)、腕時計としては最も数多くの複雑機能を搭載するヴァシュロン・コンスタンタンの「トール・ド・リル」(2005年)といった具合である。

2002年度グランプリ:パテック フィリップ「セレスティアル」2003年度グランプリ:パテック フィリップ「10-Days トゥールビヨン」
2002年度グランプリ:パテック フィリップ「セレスティアル」2003年度グランプリ:パテック フィリップ「10-Days トゥールビヨン」
2004年度グランプリ:F.P.ジュルヌ「独立秒針付きトゥールビヨン・スヴラン」2005年度グランプリ:ヴァシュロン・コンスタンタン「トゥール・ド・リル」
2004年度グランプリ:F.P.ジュルヌ「独立秒針付きトゥールビヨン・スヴラン」2005年度グランプリ:ヴァシュロン・コンスタンタン「トゥール・ド・リル」

【問い合わせ先】
F.P.ジュルヌ直営店
 TEL03-5468-0931
パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター
 TEL03-3255-8109
ヴァシュロン・コンスタンタン
 TEL03-3288-6597

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