男の腕時計/スイスの老舗高級ブランド

腕時計の未来を見据えたジャガー・ルクルト

ここ数年の時計フェアでは、質、量ともに新作の充実が際立つジャガー・ルクルト。今年は、これまでにない設計のクロノグラフやハイテクウォッチ、ダイバーズなど、話題作が目白押し。新機軸の開拓で一歩先を行く。

執筆者:菅原 茂

伝統を超越し、進化するクロノグラフ

ジャガー・ルクルトは、反転式ケースで有名な角形腕時計の「レベルソ」や、タフなスポーツウォッチ「マスター・コンプレッサー」シリーズで、機能やデザインに斬新なアイデアを展開したり、トゥールビヨンやミニッツリピーターなどのコンプリケ-ションの分野でも、伝統的な技術を超える驚異的な複雑モデルを発表するなど、スイスの老舗ブランドの中でも、とりわけ「先進性」が脚光を浴びる存在だ。その実力を支えているのは、なんといってもムーブメントや機構の開発力と製造技術。理想的なマニュファクチュール(自社一貫製造メーカー)として、ジャガー・ルクルトは、他の時計メーカーからもつねに賞賛を浴びてきた希有のブランドである。

ジャガー・ルクルト「デュオメトル・クロノグラフ」
クロノグラフの新時代をリードする「デュオメトル・クロノグラフ」。時計部分とクロノグラフをシンメトリーに配し、6時位置に6分の1秒計、またその左右にそれぞれのパワーリザーブ表示もある。手巻き。18Kピンクゴールド・ケース。483万円

その特性を遺憾なく発揮したのが、今年の新作。ほとんどが、従来では考えられないような驚くべき設計だ。まず筆頭は、「デュオメトル・クロノグラフ」。このモデルの画期的なところは、通常の時刻表示とクロノグラフとを別々の動力とメカニズムで動かしている点である。

クロノグラフとは、ストップウォッチ機能を備える時計を指し、ふつうは計測の際の動力を同一のゼンマイから得ており、必要に応じて時計部分が計測機能を、いわば「兼任」するような仕組みになっている。このモデルは、両者を独立2系統にすることによって、エネルギーロスを解消し、精度の向上を試みたのである。文字盤のデザインも、従来なら分散していたクロノグラフの積算計を一つにまとめ、それを時刻表示とシンメトリーに配置するなど、見やすさと美観についても十分な配慮がなされていて、じつに秀逸だ。

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