用と美を兼ね備える、反転式ケースの腕時計
ジャガー・ルクルトは、以前より憧れのブランドの一つであった。とりわけ、「レベルソ」は、「いつかは手に入れたい腕時計リスト」のつねに上位にあった。海外取材の必携品として長く活躍してきた「レベルソ・デュオ」(ガイド私物)。写真は二つある文字盤の表側。撮影:高橋義太郎 |
きっかけは、ポロ競技を楽しんだ将校からの要請だったという「レベルソ伝説」も、時計に関心の高い人ならすでにご存じだろう。初モデルは1931年に誕生し、アールデコの美学が息づくオリジナル・デザインを継承しながら現在まで作り続けられてきた傑作腕時計である。
「レベルソ」の最も基本的なモデルは、ケース裏面が金属の蓋で覆われている。この面にイニシャルや紋章などを刻んで楽しむこともできる。ケースを裏返せば、一種のメンズ・アクセサリーにも変身するのである。初めて「レベルソ」に接した1980年代の終わりの頃、“変身”という機能に興味を覚え、「粋ではないか、洒落ているじゃないか」と、感心したものだ。だが、実際に手に入れたのは、それから5年ちかく後のことだった。
次は、「レベルソ・デュオ」に惚れ込んだわけ