ますます多様化する個性
では次に、グランプリ以外の受賞作から、時計界のいまを探ってみよう。審査員特別賞:A.ランゲ&ゾーネ「トゥールボグラフ」 |
コンプリケ-ション・ウォッチ賞:ハインリッヒ・モザーの「モザー・パーペチュアル1」(日本での代理店未定) |
グランプリに次ぐ大きな賞に審査員特別賞があるが、2006年は、ドイツ屈指の高級時計ブランド、A.ランゲ&ゾーネの「トゥールボグラフ “プール・ル・メリット”」に贈られた。これは、トゥールビヨンとスプリットセコンド・クロノグラフという二つの複雑機構を組み合わせたものだが、そこに伝統的な機械式時計の技術が凝縮されたモデルである。
同じく伝統技術を駆使しながらも、まったく新しい発想を感じさせるのが、コンプリケーション・ウォッチ部門で賞を手に入れたハインリッヒ・モザーの「モザー・パーペチュアル1」である。
一般にパーペチュアルカレンダー(永久カレンダー)といえば、いくつものカレンダー表示が文字盤に所狭しと並ぶのが一般的だが、このモデルは日付表示のみのごく目立たないデザイン。一見しただけでは、まったく永久カレンダーだと気付かない。超複雑なメカと超シンプルの組み合わせに新鮮なサプライズがある。日本での取り扱いは未定だが、注目を浴びそうだ。
【問い合わせ先】
A.ランゲ&ゾーネ
TEL03-3288-6639
スポーティな外観&特殊機構
スポーツ・ウォッチ賞:タグ・ホイヤー「カレラ・キャリバー360ローズゴールド限定モデル」 |
メンズ・ウォッチ賞:ロジェ・デュブイ「エクスカリバーEX45トリプルタイムゾーン」 |
このクロノグラフは、機械式時計で100分の1秒という通常の10倍以上の細かな単位で計測ができる画期的なストップウォッチ機能を特徴としている。ムーブメントのスペック自体には大差がなく、デザイン中心に差別化が進むクロノグラフの流れの中にあって、革新とは何かをあらためて考えさせる力作だった。
メンズ・ウォッチ部門の受賞作、ロジェ・デュブイの「エクスカリバーEX45」もなかなかユニークなモデルだ。1990年代の終わりから大型で主張の強いデザインが時計デザインのトレンドとして今なお続いているが、その火付け役でもあったロジェ・デュブイ。
「エクスカリバー」は、このブランドの時計づくりの象徴であるばかりでなく、時計界全体の「旬なスタイル」をみごとに代弁するコレクションでもある。パワフルでスポーティな外観と、新基軸の特殊機能を組み合わせたメンズ・ウォッチはこれからも続々と登場するだろう。
【問い合わせ先】
LVMHウォッチ-ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー
TEL03-3613-3951
日本シイベルヘグナー(ロジェ・デュブイ)
TEL03-5441-4515
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