今だけプラス30psのパフォーマンスパッケージプラス
試乗車はパフォーマンスパッケージプラス装着車。エンジン出力向上(プラス30ps)、最高速度設定変更(280km/h)などが施される。欧州では昨年10月から設定され、オプション価格はセダンで約7080ユーロ。日本では5月にパフォーマンスパッケージプラスなどを備えた特別仕様車が販売された |
昨秋、すでにヨーロッパで発売されはじめたC63AMGパフォーマンスパッケージプラス仕様に、ようやく日本でも試乗することができた。完成度の高い高性能スポーツセダンとしてスマッシュヒットとなったC63。そのプラス30psの威力は、いったいいかほどだろうか。
カーボンスポイラーを装備。フロントブレーキはアルミコンポジット構造を採用し放熱性を高めたAMG専用の強化タイプで、赤く塗装されたブレーキキャリパーを備える |
もうひとつなんて、ボンネットを開けなければ分からないもので、インテークマニホールドがチタニウムグレーに塗られた。オーナーの秘かな誇り、というわけで、こういう“知る人ぞ知る、知らない人にはまるで価値なし”がかえってプレミアムセグメントユーザーの心をくすぐる。“今だけ、ここだけ、あなただけ”手法である。
パワーアップのヒミツはエンジンマネージメントの変更(E63AMGは500ps超え)もさることながら、スーパーカーSLS AMG由来の鍛造ピストンや、専用設計のコネクティングロッドとクランクシャフトにより、エンジン内部の軽量化(3kg)も果たしている。これらにより、よりパワフルでレスポンスのいいM156ユニットになったというわけ。
メーカーの発表によると、0-100km/h加速でノーマル比マイナス0.1秒の4.4秒、0-200km/h加速にいたっては同マイナス1.3秒となる13.9秒、というから明らかに中高回転域でのパフォーマンスが上がっている。
出足の瞬間の鋭さもさることながら、高回転域の伸びが素晴らしかった。なかでも中間加速のレスポンスが良質で、エンジンの精密さがきっちりフィーリングとして伝わってくる。天高くどこまでも回っていくかのような回転フィールは相変わらず気分よく、これぞ大排気量ガソリンエンジンの真骨頂だ。
エンジンは動力性能を向上させただけでなく、インテークマニホールドが専用のチタニウムグレー色にペイントされている |
実はAMG、新しい直噴ターボエンジンを発表済みである。炭酸ガス規制のもと、このパフォーマンスをこの先維持してゆくためには、一定のダウンサイジング+過給は必要不可欠ということ。とはいえ、自然吸気のこの気持ちよさが味わえなくなるのかと思うと、実にさびしい。
そういう意味ではこのC63は将来、昔のW124型500Eのような存在になるかも……。となればどうせ買うなら、パフォーマンスパッケージプラスを選んで大事に乗りたいものだ。
本革と手になじみ滑りにくいアルカンタラを用いたAMGパフォーマンスステアリングを装着 |
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