日本的エコカーになった初めての輸入ガソリン車
車両価格634万円のE250CGIブルーエフィシェンシーと、698万円の同アバンギャルド(写真)を追加設定。アバンギャルドのサイズは全長4880×全幅1855×全高1455mm。10・15モード燃費はベーシックモデルが11.4km/l、アバンギャルドが10.8km/l。アバンギャルドはエコカー減税に適合、自動車取得税・自動車重量税が50%、自動車税(翌年)が25%減税される |
満を持してというべきか、待望の次世代ガソリンエンジンを積んだメルセデスがやってきた。E250CGIとC250CGI。M・ベンツのエコキャンペーン“ブルーエフィシェンシー”の日本における主力ユニットだ。当然、海外では次世代ディーゼルターボとの両輪となる。日本ではどうしてもハイブリッド車に注目が集まりがちで、M・ベンツもつい先頃Sクラスハイブリッドを日本市場へ導入したばかりだが、本命はこっちというわけ。
最高出力204ps/最大トルク310Nmを発生する1.8リッター直噴ターボエンジン。従来E250に搭載されていた2.5リッターV6エンジンと比較し、最大トルクは26%、燃費は最大で約27%向上している |
そして、さすがはメルセデスベンツ日本というべきだろう。インポーターからしてみれば不合理きわまりない日本のいわゆる“エコカー減税&補助金”システムに初めてのっかったモデル(E250CGIアヴァンギャルドのみ)となった。
国の基幹産業を助けるということと、自由貿易を守るということは、一見矛盾することではあるけれど、それを両立してこその近代自由主義国家であり、先進国である。しかも、他国に比べて異常にニッチな輸入車ビジネスをいじめてどうする?!
もっとも、エコカーの認定規定なるもの(平成17年排出ガス規制と平成22年燃費基準)がそもそも矛盾だらけで、いかにも現場知らずの官僚たちが既存の税制をベースにほとんどひねりを加えずに考え出したものだろうから、ビッグスリーが声明を出したように、一連のエコカー減税政策は輸入車締め出し、保護貿易のそしりは免れない。
アメリカで同種の減税措置対象になった日本車は、なんと販売台数の半分らしい。もっとも、米国人が日本車を安く欲しがっている、という根本的な背景については、また別の議論が必要だが。
メルセデスが偉いのは、そういった制度や法律への根本的な不満を抑えて、ルールに則ったモデルを導入したことだ。E250CGIアヴァンギャルドのみが対象車ということは、察しのいい方なら気づくだろうが、重量別に燃費基準を設けるという愚策を取り入れた誰かへの強烈な当て付けでもあるだろう。実用燃費のことなんか知らん。重い方がエコなんだろ? 日本では……、みたいな。
アヴァンギャルドにすれば、車重が1765kg超の1780kgとなって、燃費改善の基準指標となるスペックが、10.5km/lから8.9km/lに下がる。だから、車重の軽いノーマルモデル(1680kg)よりも燃費改善が進んだと、日本のシステムでは言ってしまえるわけだ!
大いなる欺瞞だとメーカーを責められようか? 国産メーカーのほとんどがその恩恵を受けるなか、1台でも多く売ることが自動車ビジネスの成立を根本的に支えていることを考えれば、これはある種の企業努力として認められていい。
責められるべきは、制度そのものである。本当にエコ(ロジー)を目的にするのであれば正々堂々、二酸化炭素を含めて排出ガスの規制で勝負すればいいし、エコ(ノミー)対策だというのであれば、すべての新車を含むカタチで運用すべきだろう。
CGIエンジン搭載モデルの走りについては次ページで