乗り味はまごうことなきSクラス。カタログ燃費は12.7km/l
4月に発表されたドイツ本国では、予約受付から約7週間でSクラス全体の15%に達しているという |
乗り味はどうだったか。乗り出しはごくフツウのSクラスだ。トヨタプリウスに乗ったときのような“違う”感覚はない。モーターのアシストを受けて加速する。名前のとおり、4リッターくらいのエンジンを積んだSクラスらしい加速をみせた。そこから先は、本当にSクラスの世界。ずっしりとした乗り心地と、しっとりとしたハンドリングが極上のリラックスドライブを提供してくれる。
時速が15km/h以下になるとアイドルストップ(実際にはブレーキを踏み続けている=停まる意思をみせている、からほとんど停止寸前という感覚だが)。再スタート時に一瞬の震えを感じてしまう点と、減速時に回生ブレーキの作動によって硬いゴムを踏むようなペダル反発力を感じる点以外は、ほどよくパワフルなSクラスというライドフィールだった。
欲を言えば、せっかくSクラスにハイブリッドシステムを積むのだから、必要十分な性能のS350をベースにするのではなく、例えば世界的に主力のS550に代わる4リッターV8ベースか、もしくはトップエンドのS600ツインターボに代わる5.5リッターV8ベースあたりも欲しかった。ともあれ、まずは環境性能をアピールできるS350ベースで、ということ。
ほぼ同じ環境性能を見せるS350ブルーエフィシェンシー(ディーゼルターボ)とこのS400ハイブリッドが、ハイエンドサルーンにおけるエコの両輪となる。ディーゼルはもちろん欧州がメイン市場で、ガソリンハイブリッドは北米や日本市場に対して強烈なアピールになることだろう。
欧州市場における販売価格は約8.5万ユーロで、S450とほぼ同じ。装備レベルは1万ユーロ以上高いS550と同等レベルだから、そうとう気合が入っていると言っていい。日本市場へは年内にも導入予定。価格にも期待したい。もっとも、S550やS600、S63にS65が幅を利かせる日本だから、いっそ“400”という中途半端な数字なんて取ってしまって、ハイブリッドSとか何とか言って売れば、納得して買うユーザーが多くなるかも。まあ、高いSを買う人を無理クソ、このクルマに導くのも商売上、もったいない話ではあるけれど。
ところでS400ハイブリッド、日本に入ってくれば早速みんな、“エスハイ”と縮めて呼ぶのだろうか。エスティマハイブリッドと混同してしまいそうだ……。
マイナーチェンジでステアリングのデザインなどが変更された。通常モデルとの差はスピードメーター内に表示されるハイブリッドのインジケーターのみ |
ハイブリッドの状況は中央のモニターでも確認できる |