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最新ランボルギーニに新しい暴れ牛が見えた(2ページ目)

カーセンサーEDGEムック「スーパーエッジ」の撮影で、ムルシエラゴLP640とガヤルドスーパーレジェーラに乗って来ました。2台の最新ランボルギーニに“らしさ”はあるのか?“いち猛牛ファン”が試します。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

LP640はカウンタックの理想型

ムルシエラゴLP640
'06年のジュネーブショーで発表された、ムルシエラゴの高性能バージョンとなるLP640。LPはエンジンの搭載位置を表す後方縦置き(Longitudinale Posteriore)の略で、640はエンジン出力を表す。価格は3467.625万円(e-ギア)

ムルシエラゴLP640には、まるで闘牛の大きな背に跨がって行き先をコントロールするかのような興奮がある。車体のほとんどは巨大なV12エンジンとミッションに充てられており、ドライバーはその上に座っているかのようだ(実際はミッションの真横)。

もちろん、扱い切れない暴れ牛ではない。牛舎から出し、オープンロードに向かうまでの間はいかにも従順だ。遣い手は巨大な牛の鼓動と筋肉を感じずにはいられないから、何とも言えない緊張感には見舞われるのだけれども、大過去のクルマのように、むずかしがることはない。

大きさを気にしなければ、意外に乗りやすい。初期のムルシエラゴにあった4WDゆえのメカニカルな違和感もほとんどない。オニのようにトルクフルだから、大きさを感じないですむのだ。狭い商店街だってがんがん入って行ける。しゃもじのようなミラーだけを気にしていればいい。

相変わらず、目立つ。フェラーリや日産GT-Rに向けられるものとは違う種類の視線を感じる。目を合わさない、けれどもなんとかして見ておきたい。恐いもの見たさ、な視線。これも1つのランボルギーニらしさだ。

ムルシエラゴLP640
前後バンパーやサイドは新しくされ、よりアグレッシブな外観となっている。エアインテーク後ろ側に、左側のみエンジンオイルクーラー冷却のために大きな開口部も設置

さあ、オープンロードだ(今回は、テストコース)。ドライバーにも、クルマにも、溜めに溜めた前向きなストレスがある。堪えて来た何かがある。それが、いよいよ爆発する。

エンジンユニットがびくんと大きく震えたかと思うと、機械と空気とガソリンを洗濯機にぶちこんで無理矢理回したかのような音がして、恐ろしいまでのトラクションがかかり、ドライバーと一体化したクルマが路面にもぐってしまうかのように飛び出す。

ちっちっちっち、と聞こえるのは細かな塵や埃が当たる音だ。エンジン周りの轟然とした音に包まれつつ、そんなわずかな音も聞こえてくる。ドライバーの心理状態がそこまで真空化されている。

速度を上げれば上げるほどに、力がたぎってくるのが判る。それをもっと放出せねばという強迫観念にドライバーは苛まれる。それゆえ、アクセルペダルを踏み続ける。真空化がいっそう進む。そのまま天にも舞い上がるような気分。ドライバーは仕舞に大笑いしているのだった。

最高速300km/hの世界が、間違いなく用意されている。ムルシエラゴはこのLP640となり真のランボルギーニとなった。それはカウンタックの理想型であるように思う。

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