実用車として不足のない“ファッションカー”500
環境性能や安全性能にも配慮され、欧州の排ガス規制や衝突安全基準をクリア。ESPやASR(駆動輪空転防止装置)などの技術も標準装備 |
クルマとしては十分に評価できるものだった。右ハンドル化による悪影響もほとんどなく、実用車として何ら不満のない走りをみせてくれる。相変わらず、フルオートマチック走行におけるシフトアップには辟易させられるが、それとて本当は変速のタイミングでMT車のようにアクセルを緩めれば、至ってスムースに走る。ところが、完全オートでそのタイミングを見計らうのが難しいので、マニュアルモードに頼った方がよく、それじゃ2ペダルの意味がないじゃんと言われると、少々辛い。
追い越し加速などで多少物足りなさを感じるものの、必要十分なパワーソースである。町中の流れに遅れるなんてことはまずない。マニュアルモードを駆使すればリードすることだってできる。町中走りのセッティングに関しては、せっかちなイタリア人のこと、けっこうスポーティだ。
ファッションカーに見えて、その実不満のない走りを見せる。安全性能もきっちり仕上げてきたから、実用車として不足はない(あるとすれば、燃費だろうか?実用燃費を計ってみないと判断できないが)。
一体型メーターやスイッチ類、クロームパーツなどで演出しつつ、現代に求められる機能性や質感も追求している |
その大前提に立てば、新型500に“ひと目惚れ”した方は、今すぐフィアット販売店に行った方がいい。向こうで既に大人気を博しているクルマである。安定して台数が供給される保証はない。できれば展示車のある販売店に行き、その内外装の、仕上がりの良さを確認し、自分の好みに本当に合っていることも再確認できたなら、その場で契約してしまうことをオススメする。
この手のクルマに乗ると決めたなら、その実現は早ければ早い方がいろんな意味でオトクだということを最後にお伝えしておく。
撮影:尾形和美・カーセンサー