高音質再生にはクルマの剛性がモノをいう

個々のクルマの車内音響特性等は、オートサウンドの誌面で詳しく紹介するとして、今回の取材でわかったことがいくつか。まず、高音質再生にはクルマの剛性が大きくモノをいうということだ。
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VWティグアンはオーディオのグレードアップによっていい音になりやすい1台
そのいい例が、メルセデスベンツ。SLは4シーターやミニバン等に比べると車内空間が広いわけではなく、しかもフロントウィンドウの傾斜がきつくて反射の影響も大きいので、音響空間としてはけっして恵まれているとはいえないのだが、車内で音楽を聞いてみると、これがなかなかいい。ほかにアウディR8も、車内空間が狭いわりには音がよかったし、VWティグアンあたりも、ボディ剛性の高さが再生音にいい影響をもたらせた例だと思う。

車内が広いクルマは音も開放的

逆に剛性が高いとは思えないのに、音がいい例もあった。たとえばスマートフォーツーは、インテリアにプラスチックが多用されていて、内装の剛性が高いとは思えないし、車内の空間が極端に狭いなど、音響空間としてはとても条件がいいとは思えない。しかし、車内の狭さを感じない、広がりのある音場再生が楽しめたのだ。

このスマートは例外で、一般的には車内空間が広いほうが開放的な音がしがちだ。コンパクトなハッチバックは、やはり音場が狭いし、圧迫感のある音になりがち。逆にアメリカのミニバンなど車内空間が広いクルマは、伸びやかな開放感のある音が楽しめる。ただ、アメリカ車は、なぜか車内の音響特性もアメリカン。今回試乗したアメリカ車すべてが、高域と低域が持ち上がり気味な、いわゆるドンシャリ傾向だった。

頭上の空間も高音質再生には重要

また、頭上の空間が広いほうが、落ち着いた音になりやすいのも一般的な傾向。たとえばパサートCCよりはティグアンのほうが、特性的に整っているような感じ。そんなクルマのほうが、カーオーディオシステムをグレードアップしたときに、簡単にいい音が得られやすいと思う。逆に、特性が乱れているクルマは、いい音を得るのにイコライザーによる綿密な補正が必要だ。

そんな、車内音響特性と補正の関係をよく表していたのが、ボルボC30だ。このクルマ、車内音響特性自体は、けっしていいとはいえず、聴感上でもかなりピーキーな音だったが、純正オーディオの音は、まったくそれを感じさせない。むしろ、市販に交換する必要がないんじゃない? と思えるほど気持ちのいい音だった。おそらく、純正システムで、あらかじめ、車内の音響特性に合わせた補正が行われているのであろう。こんなクルマは、システムトータルのバランスでいい音に仕上げてあるので、あえて市販に交換せずに純正のままで楽しむほうが良さそうだ。

このように、カーオーディオのグレードアップに向くクルマ、難しいクルマは確実にある。クルマを乗り換える時、カーオーディオを市販機に交換するのが前提で、いい音が楽しめるクルマに仕上げたいのであれば、そのあたりもクルマ選びのチェック項目にいれたい。

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