マーチが10年振りのフルモデルチェンジを受け、3代目モデルが登場した。従来のマーチを良さを生かしながらも、10年間の自動車技術の進歩を反映させたクルマに仕上がっている。現在の自動車の課題は安全性の確保や環境問題への対応だが、新型マーチは高い衝突安全性能を備えるとともに、3機種のエンジンを搭載する全車とも排気ガスのクリーンな超-低排出ガス仕様車に仕上げられているからだ。

新型マーチでもうひとつ注目されるのは極めて低い水準に設定された価格だろう。ビジネスユースが中心となる1000ccエンジンの搭載車は何と90万円台、主力となる1200ccエンジンの搭載車は100万~110万円の間に位置し、1400cc車はいきなり高くなって130万円を超えるが、1000cc車の価格はeKワゴンやラパン並の設定だし、1200cc車はワゴンRやムーヴ並の価格が設定されている。

新型マーチは発売から1週間で2万5000台もの受注を集めたといわれているが、これだけ極端な低価格が設定されていれば、それも当然という感じ。マーチにはカーウイングスと呼ぶ通信と一体化させたクルマのIT化とも呼ぶべき仕様がわずか4万9000円でオプション設定されている。小さな画面の簡易型カーナビも含めての価格だから、これまた超割安設定といえるだろう。

ここ数年のコンパクトカークラスは、平成11年1月にデビューしたヴィッツがまず大ヒットを飛ばしたが、昨年6月にデビューしたフィットがこれを上回るヒットモデルになっていた。ヴィッツは価格がやや高めに設定されていたこともあり、比較的低価格を設定したフィットが登場すると、それに合わせたマイナーチェンジで価格の引き下げを行ってきた。しかし、ここにきてマーチがさらに割安感のある価格を設定してきたので、ヴィッツもフィットも厳しい販売合戦を迫られることになる。

装備や仕様の問題があるので、価格の比較はそう単純な問題ではないのだが、現状ではマーチに圧倒的な割安感があり、燃費や居住空間の広さ、衝突安全性能などでフィットはクルマとしての魅力が大きく、発売から時間の経過したヴィッツはますます苦しくなるというのが当面の図式。

トヨタオート店からネッツトヨタ店へのCI変更に合わせて好調な売れ行きを維持してきたヴィッツも、これからは販売力で売る時代に入ったといえるだろう。

フィットは、これまでの好調さをどこまで維持できるかがポイント。マーチのデザインに対しては若い女性ユーザーなどから可愛らしいとの評価が集まっており、フィット以上に人気を集める可能性もある。

日産初の軽自動車 MOCOは4月発売
逆にマーチのポイントになるのは、4月にも発売される予定のMOCOとの売り分けだろう。当然ながらMOCOの価格はマーチ並みの水準になってしまうはずで、場合によってはマーチよりも高いMOCOをどう売るかという話になる。日産としては、MOCOを見に来たユーザーにマーチを売り込めば良いというかも知れないが、初めての軽自動車販売がどう出るかは、マーチの売れ行きとの関係で注目されるところである。
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