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新型デリカの実用性

個性的なスタイルで注目をあびている三菱のミニバン、新型デリカD5の実用性を雪道、オフロード、高速、一般道といったあらゆる道を走って、ガイドがチェックしてきました

執筆者:森山 みずほ

文章:森山 みずほ(All About「女性と子供のカーライフ」旧ガイド)

ムD5
斬新なスタイルは、スポーティであまりファミリーカーっぽく見えないのが特徴
デリカと言うと、90年代前後にRV、4WDのミニバンの代表選手と言われたほど走破性に優れたミニバンモデルとして人気があったモデル。とにかく多人数が乗れて、雪道や悪路も安心して走れるモデルは他になかっただけに、かくいう筆者自身も、何度もデリカでスキーやキャンプ場を往復したことがあったっけ・・。

 そしてついに登場した新型。ミニバン=ファミリーカーという図式が強い中で、あえてデリカは今までとおり、SUVとしての高いオフロード性能を備えた、スポーティ4WDとして登場。
 ちなみにすでに今年のパリ・ダカールラリー(最も過酷と言われる、悪路などを長期間走り続ける競技)では、デリカD5はサポートカーとして活躍し、ノートラブルで完走。サポートカーとはいえ、凸凹の多い未舗装の道のりを荷物も人も満載状態で毎日何百?と走らないといけないわけで、その走破性の高さを実証した形に。

 とは言え、やっぱり実際に私達が日頃走れる道のりでその実力を試さないとわからないでしょ! ということから高速道路を走り、雪道を求めて北上。さらに街中での使い勝手なんかもチェックしてみたのだ。

 D5のベースとなっているのは、人気上昇中のアウトランダーというクルマ。ちなみに前モデルではパジェロがベースとなっていたけれども、価格の問題やオンロード性能の追求からアウトランダーがベースに。
 エンジンもアウトランダーと同じ2.4リッターDOHCのMIVECエンジン+CVT。最高出力、トルクともに同様ながら、ボディはD5のほうが200kgちかくも重いわけで、パワー不足なのでは・・と心配したいたけれども、意外にも走ってしまうと一般道ではネガティブな差は感じられず、なかなか軽快。
 もちろんアウトランダーと乗り比べるとスタートダッシュの俊敏さや、動きのシャープさは薄れるけれども、他のミニバンと比較すると、もたつきを感じることもなく扱いやすは十分。 また重量増に対してダンパーの容量を拡大し、ソフトな乗り心地の味付けをしているものの、そんなにロールも大きくなく、背が高いわりには低重心に感じる。しかも直進安定性が良いので、今回のような長距離ドライブでも、かなりリラックスしてドライブが可能。視界が広く開放感があるのも、肩の力を抜いてラクに運転できた要因の一つだった。

 その印象は後席に乗っていても同じで、居住性の広さだけでなく開放感も含めたリラックス感をD5は持っている。それは3列目に座っていても同じで、座面長もしっかりとあるシートのおかげでけっこう快適に過ごせたのだった。
 さて高速道路を降り、山道を登っていくと路面に雪が見え始めてくる。電子制御式の4WDというシステムのおかけで、シフトの脇にあるダイヤル操作一つで2WDからオート4WD、さらには4WDロックの状態に切り替えができる。旧型では、この2WD→4WDの操作がしにくいという人もいたが、これなら誰でも簡単に運転中に切り替えることができる。しかもこのオート4WDに切り替えたところから、D5は本領を発揮。
 D5は本格SUV並みのデパーチャーアングルとアプローチアングルを確保しているため、凸凹道はもちろん、急な下り坂を降りるのも得意としている。このあたりの走破性はやはりアウトドア派には心強いもので、他のミニバンでは絶対にマネの出来ない部分。
 しかもアクティブスタビリティコントロール(ASC)というものも装備されているので、滑りやすい路面でも不安定な動きを低減してくれるのも心強い部分。この機能は雪道に限らず、雨の日などでも効果を発揮してくれるもの。
 実際、今回のドライブの途中でも新雪~シャーベット状態~日陰のアイスバーンと、まったくコンディションの違う路面が連続する厳しい場面に出会っても、スタビリティコントロールが働き、姿勢を安定させてくれた。
 正直、ボディの重さがあるため、下り坂で調子にのっていると、感性でアンダー(コーナーで道の外側にクルマが膨らんでいってしまう傾向)はけっこう出やすい。しかしそんな場面でもかなり早めにASCが介入。ドライバーに遊び心がある時には、介入が早いぞ! と思う場面もあったけれども、日常での安全マージンを考えればありがたい部分でもある。
 そして雪の量が多くなるほど、生活4駆と言われる、他のミニバン4WDとの違いを痛切。アクセルを踏み込んだ時の無駄なスリップロスがなく、ガンガン前に進んでいく。
 他のミニバンに装備されている4WDも最近は性能がよくなり、日常の雪道ならば、多少ズルズルしながらも進むことはできたりする。しかし怖いのは、発進時に姿勢が乱れてしまったり、駐車後や勾配がある時にスタートができなくなってしまうこと。その点、D5は勾配でのゼロスタートでも、不安なく走っていける走破力を持っていた。

 ちなみに今回は、あえてすべてオート4WDの状態で走行。残念ながら“4WDロック”を使うこともなく、あっさり走破できてしまった。それだけに懐の深さはまだまだあるわけで、その実力の高さはそうとうなもの。

 さて冒頭でD5は車重が重いという話しをしたけれども、その重さに対して心配だったのが燃費の部分。今回約450kmを走行した結果、平均するとリッター8km台に。
 ただ重さがあるだけに、D5は走りかたによって燃費の差は出てきやすいのも痛感。ちなみに高速でクルーズコントロールを使って走行した際は、リッター11kmオーバーを記録。逆に高速道路でもけっこうアクセルを踏み込んで走っていると、リッター7km台まで落ち込むこともあったほど。
また街中では9km前後で走れたので、ミニバンとしては、まずまずといえるのではないかな。



デリカD5
こんな風にペットボトルが入れられ、冷やしたり暖めたりもできてしまうんです
 またもう一つ好印象だったのが使い勝手の良さ。ポケット類はサイズにしても位置にしても、どれも使いやすく無駄がない。たとえば助手席前のアッパーグローブボックスはなんと、500mlのペットボトルが3本も収納でき、なおかつ保温or保冷することが可能。このほかの収納スペースも、本当に使いやすかった。

さらにシートは全席、撥水・撥油機能を持つシート生地を採用。食べこぼしにも安心だけれど、それだけでなくシートバックの部分にもこの機能が施されているので、子供が靴でシートをけってしまっても、汚れは簡単に拭き取れてしまう。これも嬉しい機能の一つ。

冒頭で、デリカはミニバン=ファミリーカーという図式を意識せず、スポーティ路線を狙った・・と書いたけれど、それはスタイリングと走りの部分の話しで、室内は、十二分にファミリカーとしても使える利便性の良さを持っていた。開放感もあるし、子供が乗っても楽しめる室内だし。

そういったことから、子供が居るママでも十分に満足できる中身だし、走りや見た目にもウルサイ男性でも、満足度できる内容。幅広い層に指示させる、すごくユニセックスなミニバンになっている。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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