ヘッドレスト意識していますか?
クルマに乗り込んだ時、シートの前後位置や背もたれの角度は調整しますが、ヘッドレストを適切な位置にあわせている人って、案外少ないんですよね。距離を走るタクシーですら、きちんとヘッドレストの位置が合っている人というのはとても少ないです。
しかし先日、JAFが実車を使った国内初の公開実験を実施し追突事故でのヘッドレストの重要性が実証されたのです。この様子を実際に見てきたので、とんな内容だったのかお伝えしたいと思います。
このテストでは時速35?で追突車を衝突させ、追突されたクルマに乗るダミーの首がどうなるかを検証しました。ちなみに被追突車のヘッドレストは最も低い位置(この位置にしている人が街中でも最も多いため)に設定。
衝突の瞬間、重い頭部はそのままの位置に残り、身体だけが先に前に出る形に。つまり頚部はヘッドレストの形に沿って、ひどく後ろに曲がってしまうのです。そしてその次に反動でムチのように身体がしなり急激に猫背のような前屈みの姿勢になっていました。この動きが頸椎捻挫というものを引き起こしているわけです。
ちなみにこの実験には、筑波大学臨床医学講師の金岡恒治先生も同席され、分析をされたのですが先生のお話によると「頸椎捻挫とは首を上に持ち上げると痛むというのが典型的な症状です。具体的には缶ジュースを最後まで飲み干せないといった状態のことを言います。そしてその痛みが慢性化するのが「むち打ち症」で、医学的には外傷性頸部症候群といいます」とのこと。私自身、頸椎捻挫とむち打ち症というのは同じものだと思っていたのですが、違ったのですね。ちなみに先生の実験によると時速8?以下ではこのような傷害は発生しにくいといいます。
そしてさらに先生は「むち打ち症というのは、いまだに病態が未解明です。しかし、その傷害の発生原因が追突時の首への負荷によるものであることも想定できます。つまり追突時の首への負荷を軽減させるヘッドレストが、この部分の損傷を少なくするのに役立つと想像できます」とも話しておられました。
警察庁の調べによると、事故の形態はクルマ対クルマが8割以上を占め、そのうちの約4割が追突事故となっています。しかし自分からはなかなか避けようも無いのが追突事故。万一の時に少しでも自分の身体を守るためにも、ヘッドレストを適切な位置に調整することはとても大切なこと。
目安としてはヘッドレストの高さの中心位置が自分の耳の位置よりも上にくるようにすること。このちょっとした調整をするだけで、首の傷害値を大幅に軽減できるですから、今すぐみなさんも合わせてみてくださいね。
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