さて走らせてみると、まず最初に乗り心地の良さと、しっかりとした剛性感を強く感じました。とくに荒れた路面や、継ぎ目などを超えた際のしなやかな乗り心地は、今までのコンパクトカーにはなかったもの。開発スタッフの方曰く「とにかく快適に気持ち良く乗れることにとことんこだわり、かなりソフトな乗り心地ながら、同時に安心感も与える乗り味にするため、苦労した」とのこと。
タイヤを四隅ギリギリに置き、存在感のあるスタイルにすること、そして最小回転半径を軽自動車並みにすること、さらにはコストなど、企画段階からかなりの制約がある中で仕上げた足回りだったという苦労話を聞くと、本当に良くできているなぁと感心してしまいました。
ただ正直、今までのコンパクトカーのような引き締まった、スポーティな走りを楽しみたい人には物足りないです。でもあえて、そういったスポーティ路線は狙わず、乗りやすさ、扱いやすさにポイントを絞ったクルマになっているわけです。
だからステアリング操作も比較的軽めで、またバツグンの小回り性と相まって、車庫入れなどは軽自動車感覚。
ただし走りの部分では軽自動車とは大きく違い、とくに中高速域での加速感や静粛性、スムーズさはかなり高くなっています。エンジンは2種類用意されているのですが、個人的にオススメは、経済性にも優れ、全体的なバランスがいい1lモデル。加速時には3気筒特有の、少しコロコロとした音が耳に届きますが、それでもノイズや振動は抑えられているため、いたってスムーズ。快適な乗り心地とと相まって高速でも思いのほか気持ち良く走れてしまうので、これで十分という気がしたほど。
ただあえて弱点を探せば、時速70~100kmくらいの速度域でフル加速させた際に、どうしても一瞬、もたつく感じになってしまう。この瞬発力の無さは否めない部分。
アクセルを踏み込んだ際のよりリニアな加速感を求める人には1.3lモデルがオススメです。どの速度域でも、スムーズに加速できるため、軽快さはこちらのほうが上。また4気筒エンジンということもあり、1lモデルと比較すると静粛性もややアップしています。ただこのモデルもあえて気になる部分をあげるとしたら、タイヤサイズなど1lモデルと同じ足回りとなっていることもあり、段差などを超えた後に、少しブルンとした振動が残ってしまう感じがあること。
とは言え、どちらもタウンユースで使うには、ほとんど気にならないレベルのもの。それよりも扱いやすさや乗り心地、そして安定感という観点では、どちらのエンジンもライバルをリードしている感じはしました。だからエンジン選びは、加速感をとるか? 経済性や乗り心地のバランスをとるか?で選べばOK。